カーバッテリーの選び方を紹介!性能やサイズ・種類を決める上での注意点は?
オルタネーターが起こした電気を溜め込み、車そのものはもちろん、各種の車載システムを動かす役割を担うカーバッテリーは、現代の自動車を稼働させるのに欠かせないパーツです。
そこで今回は、小型・普通車向けからトラック等の大型車向けに至るまで、車のパーツを幅広く扱う琴平自動車が、カーバッテリーの選び方や種類について解説。
カーバッテリーを選ぶ際に、注意すべき4つのポイントについて、わかりやすく紹介します。
お乗りの車にカーバッテリーの交換タイミングが迫っているという方、また、自身でカーバッテリーを選んで購入してみたいという方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
カーバッテリーの選び方の基本は「今と同じもの」
カーバッテリーにはさまざまな種類があり、適切なものを選んで搭載する必要があります。
お乗りの車に適したカーバッテリーの種類は、エンジンルームやトランクルーム、後部座席に設置されたカーバッテリーそのものか、取扱説明書を見れば確認が可能です。
具体的には、バッテリー本体や取扱説明書に記載された「型式表記」を確認しましょう。
カーバッテリーの型式表記とは
「55B24R」や「M-65R」のように、数字とアルファベットの組み合わせにより、規格ごとにカーバッテリーの性能やサイズ、端子の向き等の情報を伝える表記です。
例えば、一般的に国産のバッテリーに適用される「55B24R」のようなJIS規格の型式表記では、左から順に以下のような情報を表しています。
- 55等、左端の2桁の数字:電気容量や始動性等を評価した総合性能ランク
- A~Hのアルファベット:バッテリーの短側面のサイズ(幅と箱の高さ、mm)
- 24等、右側の2桁の数字:バッテリーの長側面の長さの概寸法(cm)
- 右端のL、またはR:+極側の短側面から見た時、+端子が右・左のどちらにあるか
お乗りの車に適したカーバッテリーを購入するには、現在搭載されているものと同じ型式表記のカーバッテリーを選べば、基本的には問題ありません。
ただし、特に中古車等の場合では、搭載されているものより性能が良く、電気容量も多い適合モデルのカーバッテリーが発売されている可能性もあります。
交換を機に、カーバッテリーのグレードアップをしたい場合や、自身でカーバッテリーを選んでみたいという場合には、適合品の中から別の種類を選んでみても良いでしょう。
カーバッテリーを選ぶ時のチェックポイントは4つ
今車に搭載されているものではなく、別の種類のカーバッテリーを使ってみたい場合は、使用中の車とバッテリーの型式表記から以下4つの情報を特定し、適合するものを探します。
- 搭載する車の種類・機能
- カーバッテリーの規格と性能
- カーバッテリーのサイズ
- カーバッテリーの端子の向き
以下からは、カーバッテリーを選ぶ上で理解しておきたい4つの項目について、それぞれ見ていきましょう。
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カーバッテリーの選び方①搭載する車の種類・機能
現在、一般的に使われている車をエンジンとカーバッテリーの仕組みや機能で区別すると、大きく充電制御車とハイブリッド車、そしてアイドリングストップ車の3種類に分けられます。
まずは、今お乗りの車がどの種類に該当するのか、以下を参考に確認してみましょう。
充電制御車とは
燃費向上を目的に、車載コンピューターでオルタネーターとカーバッテリーの動きを制御し、充電と放電を頻繁に繰り返しながら走行するタイプの車のことです。
このような充電制御システムは、現代の車に幅広く搭載されている機能であるため、よほど古い年式の車両でない限り、この充電制御車にあたると考えてよいでしょう。
ハイブリッド車とは
ガソリンエンジンと電動モーターを併用して走行する車を、ハイブリッド車と言います。
エンジンの始動や車載システムの稼働時だけでなく、車の走行にも電力を必要とするハイブリッド車は、以下のように役割の異なる2種類のバッテリーが搭載されているのが特徴です。
- 走行(駆動)用バッテリー:車の走行に使う電気を溜めておくバッテリー
- 補機用バッテリー:その他の電装品や、車載システムを動かすためのバッテリー
このうち、定期的な交換が必要なのは「補機用バッテリー」のみですが、一部メーカー製の車種に搭載される補機用バッテリーには、充電制御車用バッテリーとの互換性がありません。
搭載中の補機用バッテリーの型式表記を見て、頭に「S」が付いている場合は、同じく頭に「S」が付く型式のカーバッテリーのみ搭載が可能ですので、注意が必要です。
アイドリングストップ車とは
信号待ち等、ちょっとした停車時間にも自動でエンジンの停止・始動を頻繁に行う車のことをアイドリングストップ車と言います。
アイドリングストップ車用カーバッテリーの最大の特徴は、エンジン始動時に加え、停車中も車全体へ十分に電力供給できるだけの高い耐久性と充電性能を有しているところでしょう。
そのため、アイドリングストップ車用のカーバッテリーは、充電制御車用のものとは異なる規格に沿って製造・評価されるのが一般的です。
基本的に、充電制御車用のカーバッテリーとの互換性はありませんので、注意しましょう。
車種に合わないバッテリーを搭載するとどうなる?
お乗りの車の種類や機能に適合しないカーバッテリーを搭載すると、その車が持つ機能が正常に作動しなかったり、バッテリーそのものの短寿命化や、車の燃費悪化の原因となります。
トラブルを避けるためにも、カーバッテリーは必ず車種と機能に合ったものを選びましょう。
カーバッテリーの選び方②規格と性能
お乗りの車がどのタイプに該当するのかがわかったら、次は型式表記を読む上で重要なカーバッテリーの規格と性能について、学んでいきましょう。
先述したように、型式表記には、そのカーバッテリーがどの規格に基づいて製造・評価されているのかをはじめ、サイズや端子の位置等、購入に必要な情報一式が盛り込まれています。
そこで以下からは、日本のカーバッテリーの規格として最も一般的なJIS規格をはじめ、琴平自動車でも取り扱いのあるSBA規格、EN規格、DIN規格の概要について見ていきましょう。
JIS規格のカーバッテリーについて
日本産業規格とも呼ばれるJIS規格は、日本規格協会(JSA)によって定められた日本の国家規格であり、日本において製造・販売されるカーバッテリーにおいての主流規格です。
型式表記としては、充電制御車用バッテリーでは「55B24R」のように、また一部メーカー製のハイブリッド車用バッテリーでは、この頭に排気構造を示す「S」を付けて表記されます。
国産の充電制御車や、型式表記の頭に「S」が付くカーバッテリーをお使いの場合は、JIS規格の中から自身の車に適合する種類のバッテリーを探し出し、購入・交換すると良いでしょう。
なお、カーバッテリーの始動性能や電気容量を総合的に評価した左側の数字は、50未満は2刻みに、50以上は5刻みで表記し、数字が大きくなるほど高性能であることを示しています。
カーバッテリーの変更やグレードアップを考えているなら、性能ランクを表す表記左側の数字の見方についても、覚えておくと良いでしょう。
SBA規格のカーバッテリーについて
SBA規格は、電池工業会が定めた規格のことです。カーバッテリーにおいては、主に日本の従来型の規格に当てはまらない種類・性能のものに対し、この規格を適用するのが一般的です。
具体的には、アイドリングストップ車用のカーバッテリーが「Q-85R」等とSBA規格で型式表記されることが多く、それぞれの数字とアルファベットは、以下のような情報を示しています。
- Q等、左端のアルファベット:外形寸法の区分(サイズ)
- 85等、-の右側にある数字:性能ランク
- 数字の横のR、または空欄:+端子の位置(Rの場合のみ表記、Lの場合は空欄)
また、SBA規格では、近年日本でもEN規格バッテリーの搭載が進んでいることを受けて、後述するEN規格に基づいた「日本車専用EN規格」の設定も行っています。
EN規格・DIN規格のカーバッテリーについて
EN規格とDIN規格は、それぞれ日本語で以下のように訳される規格で、名前の通りヨーロッパまたはドイツで制定されたものです。
- EN規格:欧州統一規格
- DIN規格:ドイツ工業規格
日本のカーバッテリーにおいては、JIS規格に基づいて製造・評価されたカーバッテリーが主流であり、国産車のほとんどはJIS規格のバッテリーを適合品としています。
しかし、欧州やドイツのメーカーが作った輸入車や、一部の日本製の車ではEN規格・DIN規格のバッテリーが使われています。
車の取扱説明書や搭載中のカーバッテリーを確認して、型式が「340LN0」のような表記ならEN規格、「5 62-048」のような表記であれば、DIN規格が適合品かもしれません。
主流であるJIS規格の型式表記と一緒に、EN規格やDIN規格の表記方法も覚えておきましょう。
関連記事:「エンジンオイルのAPIとは?規格ごとの表記の見方やグレードを解説」
カーバッテリーの選び方③車に合わせたサイズ
車に搭載できるカーバッテリーのサイズは、車種によって決められています。
そのため、ご自身で新しくカーバッテリーを購入する場合は、お使いのバッテリーの型式表記からサイズを確認し、適合する製品を選ばなければなりません。
そこで、以下からはJIS規格においてA~Hのアルファベットで表される「カーバッテリーの短側面の幅と箱の高さ」のサイズについて、一覧表にまとめて紹介します。
JIS規格によるバッテリー短側面の幅×箱高さ(mm)の区分
- A:127×162
- B:129(127)×203
- C:135×207
- D:173×204
- E:176×213
- F:182×213
- G:222×213
- H:278×220
JIS規格のカーバッテリーについては、上記のアルファベットが示す短側面の幅×箱の高さと、そのすぐ後の数字が表す長側面の長さ(cm)から、サイズを確認すると良いでしょう。
なお、SBA規格に則って製造・評価されるアイドリングストップ車向けのバッテリーについても、基本的には上記のJIS規格の寸法区分に基づいてサイズが設定されています。
SBA規格のカーバッテリーにおいて、サイズを表す「Q」等のアルファベットが示すJIS規格のサイズ区分は、それぞれ以下の通りです。
アイドリングストップ車向けバッテリー:JIS規格サイズ区分
- J:B17
- K:B19
- M:B20
- N:B24
- P:D20
- Q:D23
- S:D26
- T:D31
- U:E41
- V:F51
- W:G51
- X:H52
またEN規格と、SBA規格による日本車専用EN規格バッテリーのサイズ区分は共通しており、以下のように設定されています。
EN規格、日本車専用EN規格バッテリーのサイズ区分(mm)
- LN0:長さ175×幅175×高さ190
- LN1:長さ207×幅175×高さ190
- LN2:長さ242×幅175×高さ190
- LN3:長さ278×幅175×高さ190
- LN4:長さ315×幅175×高さ190
- LN5:長さ353×幅175×高さ190
- LN6:長さ394×幅175×高さ190
※高さが175mmに統一された「LBNタイプ」と呼ばれるサイズの種類も存在します。
EN規格、日本車専用EN規格では、基本的に短側面の幅と高さはすべて共通しており、長側面の長さのみ変わると認識しておくと良いでしょう。
JIS規格とEN規格では、サイズや仕組みが大きく異なる
ここまでに見てきたように、JIS規格とEN規格のカーバッテリーのサイズ設定は、大きく異なります。また、取り付け方にも以下のような違いがあるため、両者の間に互換性はありません。
- JIS規格のカーバッテリー:上側の面を車に固定するため、下側はフラット
- EN規格のカーバッテリー:下側の面を車に固定するため、下側に突起が付いている
JIS規格のカーバッテリーが適合する国産車にお乗りの場合、EN規格やSBA規格による日本車専用EN規格のカーバッテリーを使用することは原則不可能ですので、注意してください。
カーバッテリーの選び方④端子の向き・位置
蓄電池であるカーバッテリーには、他の電池と同じように「+」と「-」の電極が付いています。
車にカーバッテリーを搭載する際には、この+極・-極の向きを確認し、車側の端子の位置に合わせて車内に固定しなければなりません。
そのため、カーバッテリーの型式表記では、規格ごとにそれぞれ以下のような形で端子位置を記載するのが一般的です。
JIS規格の場合
+極のある短側面から見て、+端子が左側にある場合は「L」、右側にある場合は「R」を型式表記の末尾に記載します。
SBA規格の場合
+極のある短側面から見て、+端子が右側にある場合は「R」と型式表記の末尾に記載しますが、左側にある場合は特に記載せず、空欄とすることで端子位置を伝えます。
EN規格の場合
+極のある短側面から見て、+端子が左側にある構造を基本とするため、特に記載しません。
DIN規格の場合
端子位置については型式表記末尾の番号で伝えますが、JIS規格やSBA規格のように「L」や
「R」と記載することは、基本的にありません。
車の種類により、搭載できるカーバッテリーの端子の位置・向きは決められています。
お乗りの車に適合したカーバッテリーを選び、安全で快適なカーライフを送るためにも、端子位置の確認方法はきちんと理解しておきましょう。
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