アドブルーの代わりに水を入れると危険?代替品の使用が車に及ぼす影響・リスクとは
緊急の補充や経費削減のために、水道水等をアドブルーの代替品にしようとしていませんか。
今回は、小型・普通車向けの部品やパーツからトラック等に搭載するアドブルーまで、車関連の品物を幅広く扱う琴平自動車が、アドブルーの代替品を使うことのリスクについて解説。
アドブルーの代わりに水を入れたり、薄めたりすると起こることや、代替品として使用可能な高品位尿素水の特徴も紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
アドブルー(AdBlue)の代わりに水を入れると故障の原因に
アドブルーは、ディーゼルエンジンの排出ガス中に含まれる有害物質を分解・浄化するとともに、車の燃費向上も叶えてくれる高品位尿素水です。具体的には、尿素SCRシステムの一部として機能し、以下のようなメカニズムで排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を浄化します。
アドブルーが排気ガスを浄化するメカニズム
- ディーゼルエンジンから排出されたガスに対し、マフラー内でアドブルーが噴射される
- 高温下で気化したアドブルーは、酸化触媒と尿素SCR触媒の中で加水分解され、アンモニアガスに変化
- アンモニアガスとの化学反応により、人体や環境に対して有害な窒素酸化物を無害な窒素(N)と水(H2O)に分解
- ガスに含まれる有害物質の量を減らした上で、クリーンな排気を車外へ排出する
関連記事:「アドブルーとは?尿素SCRシステムの仕組みやディーゼル車での役割と一緒に学ぼう」
アドブルーを入れるアドブルータンクや尿素SCRシステムを搭載したディーゼルエンジン車の多くは、コンピューター制御により、アドブルーなしでは作動しない仕組みになっています。
さらに中には、アドブルーの濃度(尿素と水の割合)を検知する車種もあるため、アドブルータンクに代替品として水を入れても、安全に走行することはできません。それどころか、後述するようなエンジントラブルや車の故障が発生するリスクを高めてしまいます。
また、水以外にも一般的な尿素水や動物・人間の尿等、高品位尿素水以外をアドブルーの代替品として使う行為は非常に危険ですので、絶対にしないでください。
普段からアドブルー切れに備えておくと安心
アドブルータンクを搭載するディーゼルエンジン車は、アドブルーが無くなるとエンジンを再始動させることができなくなります。
走行中にアドブルーが無くなったことに気が付き、やむを得ず水を補充することのないように、普段から以下の対策を取ってアドブルー切れに備えておくと良いでしょう。
- メーター横の警告灯を見る癖を付けて、走行の度にアドブルー残量を確認する
- あらかじめタンクの容量を確認した上で、予備のアドブルーを車内に搭載する
関連記事:「トラックのパーツを解説!代表的な部品の名称や設置部位、役割は?」
アドブルーの代替品を使うことで起こる3つのリスク
ここからは、アドブルーの代わりに水道水を使うとどのようなことが起こるのか、具体的に見ていきましょう。考えられる代表的なリスクとしては、以下3つが挙げられます。
排出ガス浄化機能の低下と触媒の腐食
アドブルーの代替品として水を使うということは、エンジンから排出されたガスに水蒸気を噴射し、車外へ排出するということです。これでは、アドブルーと尿素SCRシステムが持つ排出ガス浄化の仕組みがうまく機能しません。
また、水に含まれる成分が排気ガス中に含まれる成分と反応して硝酸が生成されるため、システム内の触媒が腐食するリスクも高くなります。
不純物による噴射ポンプの目詰まり
アドブルーは、尿素と純水を32.5%:67.5%の比率になるように混合して製造されています。
純水とは、一般的な水から可能な限り不純物を取り除いた水のこと。一方で水道水には、カルキやカルシウム、アルミニウム、トリハロメタン等、さまざまな不純物が含まれています。
そのため、アドブルーの代替品として水道水を使うと、尿素SCRシステム内の噴射ポンプが目詰まりを起こしたり、そこからシステム・エンジン全体の故障を誘発する恐れがあるのです。
低温下で凍結する可能性が高くなる
水が0度で氷になるのに対して、アドブルーが凍結する凝固点は-11度に設定されています。
アドブルーよりも凍りやすい水を代替品として使用すると、低温環境への耐性が低下し、冬季や寒冷地でエンジンを始動できなくなるかもしれません。
アドブルーは水や燃料で薄めるのも絶対NG!
先述した通り、アドブルーの尿素と純水の割合は、車への搭載と使用に適した状態になるように調整されています。そのため、アドブルーの残量が低下したからと言って水や軽油、その他のオイル類をタンクに補充し、混合させて使うのはNGです。
アドブルーを水や燃料で薄める行為には、水等を代替品として使う場合と同じようなリスクがあるものと理解しておきましょう。
誤って水や軽油と混合した時の対処法は?
キャップの締め忘れや雨水の混入、誤って軽油を補充した等の理由からアドブルーと他の液体を混ぜてしまった時は、整備工場へ車を持ち込み、一旦すべて抜いてもらう必要があります。
ただし、アドブルーが他の液体と混合した状態でディーゼル車を動かすのは非常に危険です。
そのような状態のディーゼル車を運ぶときは、必ず牽引車を手配するようにしてください。
なおアドブルータンクのキャップを紛失した時は、タンクの注ぎ口にビニールをかぶせ輪ゴムで固定すれば密封できます。あくまで応急処置にはなりますが、もしもの時のために覚えておくと良いでしょう。
他の高品位尿素水ならアドブルーの代替品になる?
「アドブルー」「AdBlue」は、ドイツ自動車工業会(VDA)に商標登録されており、琴平自動車でもお取り扱いしている製品の一つです。アドブルーという商品名を使用できる高品位尿素水は、原則、ドイツ自動車工業会から認証を受けた製品のみとなります。
ただ日本国内には、アドブルーと同じJIS規格(JIS K2247-1)に基づいて製造されているものの、別名で販売されている高品位尿素水がいくつかあります。これらの別名製品は、用途や品質はアドブルーとほぼ同等ですが、ドイツ自動車工業会の認証を受けていない商品です。
アドブルータンクには、いずれも「アドブルー専用」「アドブルー使用に限る」等と記載されているため、基本的にはドイツ自動車工業会が認証する高品位尿素水の使用が推奨されます。
しかし、アドブルーと同じ品質規格で作られた高品位尿素水であれば、アドブルーの代替品として使用しても問題はありません。他の高品位尿素水をアドブルーの代替品として使いたい場合は、品質規格を確認の上、アドブルーと適合する種類を選ぶと良いでしょう。
なお琴平自動車では、2023年10月現在、アドブルー以外の高品位尿素水はお取り扱いがございません。アドブルーに関しては、搭載車種に関係なく平均で10リットルあたり3,000円〜、20リットルあたり4,000円〜販売しておりますので、こちらも購入時の参考にしてください。
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