インジェクターが搭載されている意味とは?車のエンジンにおける役割や種類・交換についても解説

インジェクターが搭載されている意味とは?車のエンジンにおける役割や種類・交換についても解説

インジェクターは、エンジンを搭載するほぼすべての車両に使われている重要な部品です。
そのため個人・法人として車やバイクを保有しているなら、インジェクターの役割や故障した場合の症状と対処法、交換の必要性等について知っておいて損はありません。

そこで今回は、さまざまなサイズ・種類の車にお使いいただけるパーツや工具を幅広く取り扱ってきた琴平自動車が、インジェクターとは何か、基礎知識をわかりやすく解説します。

所有する車の維持・管理のために、インジェクターについて知っておきたいという方は、ぜひ参考にご覧ください。

インジェクターとは?自動車における役割

インジェクターとは?自動車における役割

インジェクターとは、車やバイクのエンジンに燃料を供給する部品のことです。燃料供給装置や燃料噴射装置とも呼ばれるもので、以下のような仕組みでエンジン中に燃料を噴射します。

  1. センサーがエンジンの中に取り込まれた空気の量や温度等を計測し、走行状況を把握
  2. 1で得た情報をもとに、エンジンを管理するコンピュータが必要な燃料の量と供給タイミングを計算する
  3. 効率的かつ安定的な走行に最適なタイミングでインジェクターのノズルを開放し、適量の燃料を噴射する

車やバイクにおけるインジェクターの役割としては、まずエンジンが効率よく燃焼して車両が安定的に走行できるように燃料を供給し続けること、そして効率的な燃料供給によってエンジンの始動性能や車としての燃費性能、環境性能を維持・向上させることが挙げられます。単なる燃料供給装置としてだけでなく、車の排気をきれいにするという意味でも、インジェクターは重要な役割を果たしているのです。

なおインジェクターという言葉は、メーカーや販売店によっては単なる部品名ではなく、先述したような「インジェクターを動かすための一連のシステム」を指している場合もあります。

ただ一般的には、燃料供給装置というパーツそのものをインジェクター、燃料供給装置を作動させるためのシステムはインジェクション、または電子制御インジェクションなどと区別して呼ばれることが多いです。このような呼び方の区別についても、併せて覚えておきましょう。

【関連記事】トラックのインジェクターはどんな役割を担っている?おすすめのメンテナンス法も解説

機械制御の燃料供給装置「キャブレター」とは

2024年現在、燃料供給装置の主流として車やバイクに搭載されているインジェクターですが、インジェクターが一般化する前は「キャブレター」という部品が使われていました。

キャブレターとは、機械制御式の燃料供給装置のことです。コンピュータではなく、アクセルスロットルを開く際の気圧の変化を利用して燃料を吸い上げ、エンジンに供給する部品として使われていました。しかし近年では、より精密な燃料供給が可能なインジェクターへの置き換わりが進んだことから、ほとんど使われなくなっています。

燃料や構造で変わるインジェクターの種類とは?

燃料や構造で変わるインジェクターの種類とは?

インジェクターの概要がわかったら、次は、インジェクターの種類について理解していきましょう。インジェクターは、供給する燃料や搭載されるエンジンの種類、燃料供給や供給量をコントロールするための構造・仕組みを基準に、いくつかの種類に分けることができます。

そこで以下からは、2つの分類基準ごとに代表的な種類のインジェクターの特徴をそれぞれ紹介していきます。

燃料やエンジンを基準としたインジェクターの分類

車やバイクのエンジンには、大きくガソリンを燃料とするガソリンエンジンと軽油を燃料とするディーゼルエンジンの2種類があります。そのためインジェクターも、搭載するエンジンや供給する燃料の種類により、以下のような種類に分けられるのです。

ポート噴射式インジェクター
  • ガソリンを燃料とするガソリンエンジン専用のインジェクター
  • ガソリンの噴射先(燃料の供給先)は、インテークマニホールドのポート内
  • 吸気した空気にガソリンを噴射して混合気とし、スパークプラグの火花で着火してエンジンを始動させる
気筒内直接噴射式(直噴)インジェクター
  • 軽油を燃料とするディーゼルエンジンを中心に、一部のガソリンエンジンにも使われているインジェクター
  • 軽油の噴射先(燃料の供給先)は、エンジンのシリンダー内部
  • 圧縮空気に軽油を噴射して自己着火させ、エンジンを始動させる

構造や仕組みを基準としたインジェクターの分類

インジェクターは、基本的にすべて噴射口をニードルで開閉し、燃料にかかった圧力(燃圧)を利用して燃料を噴霧する構造になっていますが、噴射口を開閉したり、燃料の噴射量をコントロールする仕組みにはいくつかのパターンがあります。

このような燃料の噴射、また噴射量をコントロールする仕組みを基準に分類すると、インジェクターは大きく以下の4種類に分けられるでしょう。

ソレノイドインジェクター
  • 通電すると磁力を帯びるソレノイドの性質を利用し、噴射口を開閉するインジェクター
  • 磁力でブランジャーコアとニードルを引き寄せ、噴射口が開いて燃料を噴射する
  • 比較的低コストで搭載でき、ガソリンエンジン車に幅広く採用されている
ピエゾインジェクター
  • 圧力をかけると電圧を発生させ、電圧をかけると変形するピエゾ素子の性質を利用し、噴射口を開閉するインジェクター
  • ニードル後端の燃圧が下がると先端が引き上げられ、噴射口が開いて燃料を噴射する
  • 精度、耐久性共に高く、主にディーゼルエンジン車に採用されている
コモンレール式インジェクター
  • 高圧パイプで運んだ燃料を、電子制御によって噴霧するタイプのインジェクター
  • ガソリンエンジン車を中心に、多くのインジェクターに採用されている
ユニット式インジェクター
  • 燃料の噴射はカムの力で行い、噴射量を減らす場合のみ電子制御を使うインジェクター
  • ディーゼルエンジン車をメインに、一部メーカー製のインジェクターだけが採用している

【関連記事】インジェクターの構造をわかりやすく解説|構造による燃料噴射の仕組みの違いとは?

インジェクターの寿命・交換時期の目安とは?

インジェクターは、定期的な交換が必要な消耗品です。そこでここからは、車を保有しているなら知っておきたいインジェクターの寿命、交換時期の目安について確認していきましょう。

一般的にインジェクターは、新車時または前回の交換から走行距離にして10万㎞、使用期間にして10年を目安に交換するべきだとされています。既に交換時期に達しているという場合や、車体やエンジンに以下のような症状が現れている場合は、早めに整備士に相談して点検・交換してもらいましょう。

インジェクターに故障や不具合がある時のサインとは

  • エンジンがかかりにくくなった
  • 時々エンストするようになった
  • エンジンから変な音がするようになった
  • 走行中、アイドリング中の振動が大きくなった
  • トルクの不足や加速の低下を感じるようになった
  • DPF再生、DPF警告灯の点灯頻度が増えた

【関連記事】インジェクターの交換時期・費用の目安は?洗浄など他のお手入れ方法と一緒に紹介

インジェクターの点検はDIYで行わず、プロに依頼しよう

インジェクターを点検・交換するには、車やバイクのエンジンに対する専門的な知識が必要です。そのため、整備士以外がDIYでインジェクターの点検を行うのは、おすすめできません。

インジェクターの点検や交換を実施したい場合は、必ず整備士に作業を依頼してください。

【関連記事】車の重要部品「インジェクター」の点検方法を紹介!DIYでの点検の可否やリスクとは

インジェクターのメンテナンス方法は洗浄がおすすめ!

インジェクターの劣化や機能の低下は、主に燃料を燃やした時に出るススやカーボン、ワニス等の油脂が噴射口に詰まることが原因で起こります。そこでおすすめしたいのが、定期的にインジェクターを車体から取り外して分解し、専用の機材と洗浄剤で洗浄することです。

噴射口の詰まりが軽度なうちに洗浄できれば、インジェクターの劣化スピードや交換時期をある程度遅らせることができます。

インジェクターが劣化し、エンジンやDPFまで故障すると高額な修理・交換費用がかかることがあります。そのような事態を防ぐためにも、定期的に費用をかけて専門業者へインジェクターの洗浄を依頼し、メンテナンスを実施することも検討してみてくださいね。

リビルト品や洗浄品のインジェクターもご提案可能!「琴平自動車」が選ばれる5つの理由

車の各種パーツ、部品のことなら琴平自動車へ

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