車の重要部品「インジェクター」の点検方法を紹介!DIYでの点検の可否やリスクとは




インジェクターは、使用期間にして10年、走行距離にして10万㎞を目安に交換が必要になるとされている消耗品です。そのため、自身の車両の使い方や状態に合わせて適切なタイミングで点検、交換する必要があるのですが、ドライバーや所有者でも点検は可能なのでしょうか。
そこで今回は、さまざまな種類の車にお使いいただけるパーツや工具を幅広く取り扱ってきた琴平自動車が、DIYでのインジェクターの点検可否や、点検方法について解説していきます。
個人や法人として所有する車のインジェクターを自分で点検できるのか、またインジェクターの異常が疑われる場合の適切な対処法を知っておきたいという方は、参考にご覧ください。
目次
燃料供給装置である「インジェクター」の概要
まずは、ほとんどすべての車やバイクに搭載されているインジェクターがどのような部品なのか、その概要を理解していきましょう。インジェクターとは、コンピュータ制御によって車やバイクのエンジンに最適な量・タイミングで燃料を供給してくれる燃料供給装置のことです。
その時の気温や気圧、走行状況の他、エンジン内に取り込まれた空気の量・温度をセンサーで計測し、効率的かつ安定的な走行に必要な量とタイミングを計算した上で、エンジン内に燃料を噴射します。なおインジェクターは、噴射する燃料やエンジンの種類の違いにより以下の2種類に大別されますので、基本的な機能や役割と一緒に覚えておくと良いでしょう。
- ガソリンを燃料とするガソリンエンジン車専用の「ポート噴射式インジェクター」
- 軽油を燃料とするディーゼルエンジン車を中心に、一部のガソリン車でも使用される「気筒内直接噴射式(直噴)インジェクター」
車のインジェクターの大まかな点検方法
ここからはインジェクターの点検方法、大まかな点検のステップについて、順に確認していきましょう。一般的なインジェクターの点検方法を簡単にまとめると、以下のようになります。
【ステップ1】インジェクターの作動音を点検する
まずはエンジンをかけて、各インジェクターから「カチカチ」「パチパチ」「チッチッ」などの作動音がしているかを確認します。エンジン音でインジェクターの音が聞き取りにくい場合は、1本ずつドライバーを当てるか、サウンドスコープと呼ばれる車用の聴診器のような工具を当てて音の有無を確認していきましょう。
またこの時、アイドル回転数に違和感はないか、エンジンの回転数と一緒にインジェクターの作動音が増すかどうかも一緒に確認してください。なお作動音が聞こえない場合は、インジェクターの駆動回路に異常があり、インジェクターが正しく作動していない可能性があります。
【ステップ2】端子間の抵抗を測定・点検する
次にインジェクターのコネクタを外し、電源端子と信号端子に電源を接続して端子間の抵抗を測定します。端子間抵抗が数Ω〜十数Ωの間であれば、正常の範囲内だと考えて良いでしょう。
なお、端子間の抵抗値が先述した正常値を大きく外れる場合は、インジェクターが安全に使用できる状態にないと考えられますので、交換が必要になる可能性が高いです。
【ステップ3】インジェクターの噴射状態を点検する
最後に、インジェクターがきちんと燃料を噴霧できているか、燃料の噴射状態を点検します。
点検方法としては、まずインジェクターに接続しているフューエルパイプライン内の残圧を抜いた上で、デリバリーパイプ側のホースを取り外します。なおこの時、残圧によって燃料が飛散しないように、フューエルパイプラインをウエス等の布で覆うなどの対策を取りましょう。
付属するパイプやホースを外し、インジェクター本体を取り出したら、インジェクターテストセット(またはインジェクターテスター)と呼ばれる工具を接続してインジェクターを動かし、燃料の噴霧状態を点検します。
噴霧状態については、極端に悪いか、1分間に1滴以上ノズルから燃料が漏れているということがなければ、特に問題ありません。点検を終了してインジェクターと周辺のホース、パーツを元の状態に組み直しましょう。
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インジェクターの点検をDIYで実施するのは非常に難しい
ここまでに見てきたインジェクターの点検方法は、一般的な手順を簡単にまとめたものです。
実際には車両やインジェクターの状態に合わせて、より多くの項目について点検を行うこともある上、点検作業中に特殊な工具を使用することも珍しくありません。
また、インジェクター自体が見つけにくい場所に設置されているケースもあるため、車の整備や修理に関する専門知識がない人がインジェクターを点検するのは非常に困難であり、危険だと考えられます。
そのため、インジェクターの点検を車のドライバーやオーナーがDIYで実施することは、あまりおすすめできません。
所有する車に以下のようなインジェクターの劣化、故障が疑われるような症状が現れた場合は、できるだけ早く整備士に相談し、必要に応じて点検と整備、交換をしてもらいましょう。
- エンジンがかかりにくくなり、変な音がする
- 走行中やアイドリング中の振動が大きくなった
- トルクの不足、加速の低下を感じるようになった
- DPFの再生頻度、警告灯が点灯する頻度が増えた
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点検以外に、インジェクターのためにできることは?
劣化や故障が疑われる症状が出ているのに点検や修理、整備をしないままでいると燃料の供給が不安定になって車の燃費や環境性能が低下するだけでなく、エンジンそのものやDPF、DPD、DPR等、ディーゼルエンジンの排気を浄化する装置が故障する原因にもなってしまいます。
エンジンやDPF等の浄化装置が故障すると、部品代を含めて数十万円以上の修理費用がかかることも珍しくありません。そのためインジェクターは、劣化による不具合がエンジンや車体に現れる前に定期的な点検や分解・洗浄を専門業者に依頼し、ケアするのが望ましいでしょう。
インジェクターの点検や分解・洗浄を整備士、または洗浄業者等に依頼するには一定の費用がかかりますが、燃料噴射口の詰まりを防ぎ、インジェクターの寿命を延ばすのに役立ちます。
法定点検整備や車検など、車に何らかの点検や整備を実施する際に、一緒にインジェクターの点検や分解・洗浄も行うようにすれば、あまり手間もかかりません。このような方法があることも、インジェクターの点検方法や手順と併せて覚えておいてくださいね。
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