OBD1・OBD2の違いとは?OBD(車載式故障診断装置)の種類を学ぼう
2024年10月より、一部車種を対象に車検時に検査することが義務付けられたOBDですが、実はOBDには、大きく「OBD1」と「OBD2」と呼ばれる2つの種類が存在しているのです。
そこで今回は、小型・普通車からトラック等の大型車向けまで、車用品を幅広く取り扱ってきた琴平自動車が、OBD1とOBD2の違いについて、OBDそのものの仕組みや歴史にも触れながら解説していきます。
OBD車検の義務化に伴い、OBD1・OBD2の違いをはじめとするOBDの基本的な情報について知っておきたいという方は、ぜひ参考にご覧ください。
目次
OBD・OBD1・OBD2とは?それぞれの言葉の意味の違い
まずはOBD(On-Board Diagnostics)がどのようなものか、大まかな歴史や仕組みとともに理解していきましょう。
OBDとは、車を動かす各種装置をコンピューター制御するECUに搭載された機能の一つです。
もともとは1970年前後に、燃料噴射や点火制御システムを監視したり、これらのシステムに不具合が起きた時に簡単な自己診断を行い、ランプの点滅回数で故障個所を知らせる等の役割を担うものでした。
その後、技術の進歩に伴い車に搭載されるECUの台数が増え、機能が向上すると、OBD自体も進化していきました。現在OBDは、1台の車を動かすのに必要な数十ユニットものECUを監視する他、不具合が起きた時には自己診断と記録を行い、パネルメーター横の警告灯を点灯させるなどしてドライバーに知らせる役割を担っているのです。
なおECU、OBDは、自動ブレーキや駐車支援といった運転支援技術、自動運転技術の監視・制御も行っています。このことから、これらの機能に不具合が起こることによる事故の発生を抑制する目的で、2024年から一部車種に対してOBD車検が義務化される流れとなりました。
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「OBD1」の概要
OBDとは何かを理解できたら、次は、OBD1とOBD2の概要について、確認していきましょう。
OBDのうちOBD1とは、簡単に言うとOBDの初期型モデルのことです。一般的には、アメリカで1980〜1990年代にかけて、日本では2000年代に普及したOBDを差すことが多いとされます。
OBD1の特徴としては、製造メーカーによってコネクターの形状や接続ケーブルの種類、トラブルが起きた時の判別方法、故障コードの桁数・表示などに違いがあったことが挙げられます。
「OBD2」の概要
対してOBD2は、第一世代にあたるOBD1をバージョンアップさせた第二世代のOBDです。アメリカでは1996年以降販売されるモデルに対して、日本では2008年以降に型式認定を受ける車種に対して、OBD2仕様のOBDを搭載することが義務付けられました。
OBD2の特徴としては、バージョンアップに伴ってより高度な自己診断システムを有するようになったこと、またOBD1ではバラバラだったコネクターや接続ケーブル、トラブルの判断基準、故障コードの基準・規格が、一部の海外製車種を除いて統一されたことが挙げられます。
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OBD1とOBD2の違いは大きく2つ
ここからは、改めてOBD1とOBD2は何が違うのか、具体的な違いについて紹介していきます。OBD1とOBD2の代表的な違いとしては、大きく以下の2つが挙げられるでしょう。
【その1】コネクターやケーブルの規格が統一されているかの違い
先述した通り、OBD1ではコネクターの形状から接続ケーブルの種類、故障の診断基準やコードの桁数、表示に至るまで、すべて各メーカーが独自に設定していました。そのため原則スキャナーの互換性もなく、車種や製造メーカーごとに使用ツールを変える必要があったのです。
しかしOBD2においては、一部の海外メーカーを除いてOBD規格の世界標準化が行われたため、ほとんど全メーカー製の車種において共通のコネクターが設置されています。そのため、コネクターに接続するケーブルやスキャナーも、基本的に同じ種類のものが使用できるようになりました。
【その2】スキャナーで読み取れるDTCの桁数・解読難易度の違い
OBD1の頃にはバラバラだった故障コードの桁数や表示方法、意味づけですが、機器が世界標準化されたタイミングで、一部の海外メーカーを除いてP・C・B・Uのいずれかのアルファベットと4桁の数字を組み合わせた「P0201」のような表記に統一されました。
なおOBD2の故障コードに使われる4つのアルファベットは、おおよその故障部位を表しており、それぞれ以下のような意味があります。
- P:エンジンや動力伝達装置
- C:シャーシ(ABSを含む)
- B:ボディ(エアバッグを含む)
- U:各ECU間のネットワーク、CAN
故障コードの統一により、OBD検査のためのコードの読みだし・解読も簡単になりました。
ちなみに、2024年10月より開始されるOBD車検においても、OBD2への移行時に標準化された故障コードが活用されています。具体的には、スキャンツールをOBDのコネクターに接続して故障コードを取得し、特定DTCというコードの有無をチェックして車検の合否を決定します。
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OBD2搭載車に関する注意点
ここまでに見てきた通り、車を適切に整備・修理し、安全に利用する上でメリットが多いOBD2ですが、一方で、バッテリー上がりを引き起こす可能性があるというデメリットもあります。
一般的にエアコンやライト、オーディオなど車載の電子機器はバッテリーから供給される電力で動いていますが、そのほとんどは、車のエンジンを切ると同時に電源がオフになるため、車を動かしていない間はバッテリーに蓄えられた電気を消費しません。
しかし、常時電源であるOBD2は、車のエンジンを切った状態でも常に電力を消費し続けます。
そのため、普段の車の使用状況によっては、OBD2による電力消費のためにバッテリーに蓄えられていた電気がすべて放出されてしまい、バッテリー上がりを引き起こす恐れがあるのです。
OBD2によるバッテリー上がりへの対策としては、普段からこまめに車を動かすようにすることが挙げられます。もし、こまめに車を走行させるのが難しい場合は、アイドリングをしてオルタネーターを動かし、少しずつ蓄電しておくのもおすすめです。
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