エンジンオイルの粘度指数とは?言葉の意味と粘度表記の読み解き方

エンジンオイルの粘度指数とは?言葉の意味と粘度表記の読み解き方

交換に伴い、車のエンジンオイルを選ぶ際に注意すべき数値がオイルの「粘度指数」です。

今回はエンジンオイル等の消耗品をはじめ、小型・普通車向けからトラック等の大型車向けにまで、車の部品を幅広く扱う琴平自動車がエンジンオイルの粘度指数とは何かを説明します。

また、車のエンジンオイルを選ぶ上で粘度が重要視される理由や、所有する車に適した粘度のオイルを選ぶための粘度指数の見方も一緒に紹介するので、ぜひお役立てください。

エンジンオイルの粘度指数とは

エンジエンジンオイルの粘度指数とは

粘度指数とは、エンジンオイル等の潤滑油の粘度が温度によってどれくらい変化するかを示す物性値のことです。

一般的に、石油製品についてはcSt(センチストークス)を単位とし、100度と40度の際の動粘度の値をもとに算出されます。

もっと簡単に表すと、エンジンオイルの温度が40度の時と100度の時に、どのくらいオイルのドロドロ具合が変わるのかを表した数値、と言い換えられるでしょう。

なお粘度指数は、温度による潤滑油の粘度の変化率が少ないほど、高い数値で表されます。

エンジンオイルの場合、粘度指数が高いということは低温時・高温時における粘度変化が少なく、温度によらず安定した粘度と性能を保てるオイルだ、という理解で問題ありません。

車の性能をしっかりと引き出すには、保有する車とエンジンの状態に適した粘度指数、および粘度のエンジンオイルを選ぶことが非常に重要になってきます。

以降では、なぜ車やエンジンの状態に適した粘度指数・粘度のエンジンオイルを選ぶことが重要とされるのか、その理由を見ていきましょう。

関連記事:「エンジンオイルの劣化をどう判断する?基準と交換時期の見極め方

エンジンオイル選びで、粘度が重要視される理由

エンジンオイル選びで、粘度が重要視される理由

エンジンオイルには、大きく潤滑、密封、冷却、洗浄、防錆と5つの役割があります。

オイルパンの中に搭載されたエンジンオイルは、各部品に油膜を張って余計な摩擦と発熱を抑え、さらにエンジンを冷却・洗浄して、良好な状態に保ってくれるというわけです。

しかし、車やエンジンの状態に対してエンジンオイルの粘度指数や粘度が低いと、潤滑性や密封性が損なわれ、以下のようなエンジントラブルが発生しやすくなります。

  • 部品同士が激しく摩擦を起こすことによるエンジンからの異音、異常な発熱
  • 部品の隙間からエンジン内へオイルが漏れ、ガソリンと一緒に燃えてしまうオイル消費
  • エンジンの隙間から動力となる熱気が漏れ出すことによる燃費の低下

通常、車には製造したメーカーが指定・推奨するエンジンオイルの粘度が取扱説明書に記載され、新車にはその指定粘度のエンジンオイルが純正品として搭載されています。

ただ走行距離や利用期間が長かったり、エンジンに負荷がかかりやすい環境での走行が多い車は、エンジン保護のためにメーカー指定より少し粘度の高いオイルの使用が推奨されます。

つまり、エンジンオイルの粘度指数や粘度は、エンジンや車そのものの寿命を大きく左右する重要な要素の一つなのです。

関連記事:「純正品と正規品の違いは?交換前に知っておきたい車の部品の基本

エンジンオイルの粘度指数や、その目安を知る方法

エンジンオイルの粘度指数や、その目安を知る方法

エンジンを保護し、大切な車を長持ちさせるために重要なエンジンオイルの「粘度指数」および「粘度」ですが、商品のどこを見れば確認できるのでしょうか。

実は、「粘度指数」を明確に表す数値がエンジンオイルのパッケージに書かれていることは、ほぼありません。

正確な「粘度指数」を知りたい方は、製造メーカーのサイト等で確認してください。

対して、正確な粘度指数がわからなくても、自分の車とエンジンに合うエンジンオイルの粘度が分かれば良いと言う方は、パッケージ記載の「粘度表記」を確認すると良いでしょう。

エンジンオイルの「粘度」は、日本で販売されているものもSAE(米国自動車技術者協会)が設定した粘度表示規格に基づき、パッケージに記載するのが一般的です。

ここからは、パッケージからエンジンオイルの粘度を理解するために、SAE規格の粘度表記の見方を学んでいきましょう。

シングルグレードの粘度指数の目安は「SAE+2桁の数字」を見る

エンジンオイルのうち、温度による粘度の変化が少ない一方、低温環境での始動性には乏しいという特徴を持つのが「シングルグレード(モノグレード)」という種類です。

シングルグレードの粘度は「SAE+20・30・40・50の2桁の数字」で表され、数字が大きくなればなるほど、エンジンオイルの粘度が高いことを示しています。

ただし、シングルグレードのエンジンオイルは季節や居住地に合わせたこまめな交換が必要になるため、近年発売された新型車ではあまり使われていません。

マルチグレードの粘度指数の目安は「1桁の数字+W-2桁の数字」を見る

またエンジンオイルのうち、季節の変化や寒冷地での使用にも対応できるよう、温度によってある程度粘度が変わる種類を「マルチグレード」と呼びます。

近年の小型・普通車には、このマルチグレードのエンジンオイルを使うのが主流です。
「0W・5W・10W・15W・20W」と、頭のSAE表記を省いた「20・30・40・50」をハイフンでつなぎ、エンジンオイルの粘度を表します。

具体的には「0W-20」や「15W-40」等と表記されていますが、前半の「1桁の数字+W」と後半の「2桁の数字」の意味は、それぞれ以下の通りです。

  • 前半の「1桁の数字+W」:対応可能な外気温の最低温度と低音下での粘度、始動性
  • 後半の「2桁の数字」  :オイルが高温になった時の粘度、エンジンの保護性

なお前半の数字の前に就いたWの文字にはウィンター、つまり冬という意味があります。

また後半の2桁の数字は、シングルグレードと同じく数値が高いほど粘度が高く、エンジンへの保護性が高いという意味になりますので、併せて覚えておきましょう。

マルチグレード前半部分の粘度表記と、対応可能な最低気温一覧

エンジンオイルの粘度表記において、前半の数字とWの組み合わせが示す対応可能な最低気温の目安一覧は、以下の通りです。

  • 0W :-35度
  • 5W :-30度
  • 10W :-25度
  • 15W :-20度
  • 20W :-15度
  • 25W :-10度

特に寒冷地にお住まいの方は、冬季に使用するエンジンオイル選びにお役立てください。

関連記事:「エンジンオイルの粘度は上げるべき?目的や選び方、注意点を解説

粘度指数と併せて知りたいエンジンオイルの「規格」

粘度指数と併せて知りたいエンジンオイルの「規格」

粘度以外に、エンジンオイルの品質や性能を表す基準として規格(グレード)があります。

以下に、粘度指数の目安と併せてパッケージ表記されていることの多いエンジンオイルの規格のうち、代表的な4つについて概要をご説明します。

API規格

省燃費性や耐熱性、耐摩耗性等のオイル性能を「API SN」「API SP」等と表記します。
米国石油協会と米国材料試験協会、そして米国自動車技術者協会の三者が設定する規格であり、Sの後のアルファベットが大きいほど新しく、高性能なオイルです。

JASO規格

「DL-1」等と表記される、国産クリーンディーゼルエンジン向けオイルの規格です。
日本自動車技術会が制定したもので、日本の国産クリーンディーゼルエンジンへの対応商品においては、この規格が主流となっています。

なお、トラック等の大型ディーゼルエンジン車においては、基本的にJASO規格の「DH2」のエンジンオイルを使用します。

ILSAC規格

API規格に省燃費性能を加え、日米の自動車工業会が制定した規格です。
粘度表記も独自に制定しており、ILSACの後に「GF-6」等の粘度表記とAPI規格で相当する粘度が併記されていることもあります。

ACEA規格

ガソリン車、およびディーゼル車向けに欧州自動車工業会が制定した規格です。
車の種類や大きさ、搭載機能、利用目的等によってA・B・C・Eとカテゴリ分けしてあり、欧州産の車のほとんどがACEA規格のエンジンオイルを使用します。

関連記事:「車の部品・消耗品の交換時期は?必要な費用の目安と一緒に解説!

車の各種パーツ、部品のことなら琴平自動車へ

車の各種パーツ、部品のことなら琴平自動車へ

私たち琴平自動車は、トラックやトラクターなどの大型車から一般の小型車まで、さまざまな車にお使いいただけるパーツ・工具を全国へお届けする部品卸商です。

ディーラーや部品メーカーなど、100社近い仕入れ先様と取引があり、お客様のご予算・ご要望に合わせた適切なパーツのお取り寄せやご提案をさせていただいております!

  • 保有する車の性能、用途に合うパーツをできるだけ早く入手したい
  • 予算内で修理を完了させられるよう、方法を提案して欲しい
  • 社外品やリビルト品も含め、自社の車に合う部品を提案してもらいたい
  • 保証期間は短くても良いので、安くて性能の良いパーツを探して欲しい

など、車のパーツ選びや取り寄せについてお悩みなら、ぜひ一度ご相談ください。

純正品はもちろん優良品、リビルト品、社外製品から自社開発の油圧ホースまでご案内できる取扱商品の幅広さを武器に、弊社の担当者がきめ細かく対応いたします。

琴平自動車公式インスタグラム