エンジンオイルの滲み・漏れはなぜ起こる?原因や適切な対処法とは
車のエンジンに起こる代表的なトラブルの一つに、エンジンオイルの滲みや漏れがあります。
今回は、ドライバーにとって身近なトラブルであるエンジンオイルの滲み・漏れについて、小型・普通車向けからトラック等の大型車向けまで、車の部品を幅広く扱う琴平自動車が解説。
エンジンオイルの滲みや漏れがなぜ起こるのか、その原因や発生予防のためにできる対策、起きてしまった場合の適切な対処法まで、まとめて紹介していきます。
車を保有している方なら知っておいて損はない内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
エンジンオイルの滲み、漏れとは?定義を解説
エンジンオイル滲み、エンジンオイル漏れとは、本来ならエンジン下部に格納されているはずのオイルが、何らかの理由でエンジン内外へ染み出てきた状態を言います。
なお、エンジンの「滲み」と「漏れ」の状態の違いや種類は、それぞれ以下の通りです。
エンジンオイルが滲んでいる状態とは
以下のような、エンジンから少量のエンジンオイルが漏れている状態を「滲み」と呼びます。
- 数百~数千㎞走行して、少し地面に垂れる程度にエンジンオイルが漏れている
- 注入口やレベルゲージ、ドレンボルト周辺にエンジンオイルと汚れが付着している
- ボンネットを開けると、エンジンパーツへのオイルの付着が目視できる
エンジンオイルが漏れている状態とは
対して、以下のような症状で大量にエンジンオイルが漏れているときは「漏れ」となります。
- パッキン周辺を中心に、エンジンパーツの表面がオイルで濡れているように見える
- パッキン周辺をはじめ、エンジンパーツの各所に湿り気のある汚れが付着している
- 数十㎞しか走行していないのに、1リットル単位で大量にエンジンオイルが減る
- 長時間駐車していると、車の下に水たまりのような黒いオイルだまりができる
- 走行中にポタポタとオイルが滴ったり、タイヤに付着するほどオイル漏れしている
車の走行時や駐停車時、ボンネットを開けての点検時に上記のような症状が見られたら、エンジンの滲みや漏れが起きていると考えましょう。
なお、オイル漏れには大きくエンジン外部にまでエンジンオイルが漏れ出してくる「外部漏れ」と、エンジン内部にのみオイル漏れする「内部漏れ」があります。
エンジンオイルの「外部漏れ」
外部漏れとはオイルパン、エンジン、車の外にまでエンジンオイルが漏れ出た状態のこと。
代表的な症状としては、駐車中の車の下に黒いエンジンオイルが溜まる、走行中にポタポタとエンジンオイルが滴る等が挙げられます。
エンジンオイルの「内部漏れ」
内部漏れとは、本来ならオイルパンの中だけで攪拌されているはずのエンジンオイルが、エンジン内部に漏れ出すこと。
特に年式の古いトラック、バス等の大型車に発生しやすい現象で、外部へのオイル漏れが見られないのに異常にエンジンオイルの減りが早い場合は、この内部漏れが疑われます。
関連記事:「エンジンオイルの劣化をどう判断する?基準と交換時期の見極め方」
エンジンオイルの滲みや漏れの原因4つ
エンジンと車の内外へのエンジンオイルの滲みや漏れは、なぜ起こるのでしょうか。
ここからは、エンジンオイルの滲み・漏れが起こる原因を、よくある4つのパターンに分けて紹介していきます。
点検時、交換時のエンジンオイルの付着
エンジンオイルの滲みや漏れが起こる原因の一つ目は、点検時や交換時の人為的ミスです。
エンジンオイルをはじめ、エンジンオイルフィルターや冷却水等、エンジン周りには定期的な点検・交換が必要な消耗品が多数配置されています。
エンジンやエンジンオイルの点検のためにこれらの部品に触れると、オイルが付着し、内部漏れに代表されるオイル滲みを起こすことがあるのです。
そのため、エンジンオイルやエンジンオイルフィルターの交換、定期点検等の直後にエンジンオイルの滲み・漏れが確認された場合は、この人為的ミスの可能性が高いと考えられます。
関連記事:「車の部品・消耗品の交換時期は?必要な費用の目安と一緒に解説!」
エンジンのパッキンやシール材の劣化
次に考えられるのが、エンジン上部のフタとして設置されているヘッドカバーをはじめ、金属製エンジン部品同士の接合部に配置されている部品の劣化です。
シール材やパッキン、ガスケット等と呼ばれる接合部の部品は、金属以外にもゴムや樹脂、紙等さまざまな素材から作られています。
これらの接合部品は使用年数とともに劣化が進み、隙間を埋める機能も低下していきます。
経年劣化によって硬くなったシール材やパッキン、ガスケットは柔軟性・密封性を失うため、ひび割れた箇所からエンジンオイルの滲みや内部漏れが起こるケースがあるのです。
経年によるエンジンパーツの歪み、不具合
使用年数が長くなるにつれて劣化が進むのは、隙間を埋めるための部品だけではありません。
エンジン内外の以下のような金属製の部品も、経年による摩耗や、車に適合していない新品に交換される等の理由から破損し、オイルの滲みや漏れを引き起こすことがあります。
- オイルパンやガソリンタンクの口を塞ぐための「ドレンボルト」
内部でピストン運動をし、車が走行するための動力を作る「シリンダー」 - ピストンが発生させた爆発力を逃さないようにする「ピストンリング」
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エンジンオイルを溜めるオイルパンの破損
オイルパンとは、エンジン下部に設置されていることの多いエンジンオイル格納庫のこと。
他の部品の劣化や破損に比べると発生頻度は低いですが、このオイルパンそのものの破損も、エンジンオイルの滲み・漏れの原因の一つです。
特に大量のエンジンオイルの外部漏れが確認されている場合は、以下のような理由からオイルパンが破損しているのかもしれません。
- 経年劣化によってオイルパンの表面がさび付き、亀裂や穴が開いてしまった
- 物損事故や、走行中に縁石へ衝突する等が原因でオイルパンが破損した
エンジンオイルの滲み、漏れが引き起こすトラブル
ここまでに見てきた通り、エンジンオイルの滲み・漏れは主にエンジン周りの部品の経年劣化が原因で起こります。車の年式に関わらず、どのような車にも発生し得るトラブルなのです。
しかし、軽度のエンジンオイルの滲みであれば気が付かず、走行を続けてしまう可能性も考えられますよね。オイルの滲みや漏れを放置すると、どのようなことが起こるのでしょうか。
そこで以降は、エンジンオイルの滲みや漏れを放置することで起こるトラブルを紹介します。
道路交通法違反のため、車検に通らなくなる
エンジンオイルの滲みや漏れの有無は、車検における重要な検査項目の一つです。
実際の検査時には検査員がボンネットからエンジン周りを確認しますが、この時にエンジンオイルの漏れが確認されると、それだけで車検不合格となります。
また、エンジンオイルに滲みや漏れがある状態で車を走行させるのは道路交通法違反です。
つまりエンジンオイルに滲みや漏れがある車は、それだけで車としての使用ができなくなってしまうのです。
焼き付き等、重大なエンジントラブルの原因となる
エンジンオイルの滲み・漏れが発生した車では、エンジンオイルが減少し続けてしまいます。
本来、エンジンオイルはエンジンの密封と潤滑、冷却、防錆、洗浄する役割があります。
しかし、オイルが規定量より少ない状況が続くとこれらの機能が著しく低下し、エンジンに過度な負担がかかった状態になります。
冷却機能を失い、過負荷状態が続いたエンジンはやがて高熱を発し、最後には焼き付きを起こし緊急停止してしまうのです。
ここまでくると部品の交換だけでなく、エンジンそのものを新品に交換するか、部品単位まで細かく分解・修理してから組み立てるオーバーホールが必要になる可能性も考えられます。
エンジンオイルの滲みや漏れを放っておくと、車そのものを走らせることができなくなるばかりか、莫大な修理費用を支払うことにもなり兼ねないと覚えておきましょう。
関連記事:「リビルト品の意味とは?修理に使うメリット・デメリットを学ぼう」
エンジンオイルの滲み、漏れへの適切な対処法
焼き付き等、重大なエンジントラブルの原因となるエンジンオイルの滲みや漏れには、見つけ次第、すぐに適切に対処しなければなりません。
具体的には、軽度のエンジンオイルの漏れや滲みには以下の応急処置で対処し、その後、修理工場等へ車を持ち込んで根本修理すると良いでしょう。
エンジンオイルの滲み、漏れへの応急処置
エンジンオイルの軽度な漏れや滲みを確認し、ひとまずの応急処置をしたいときは、琴平自動車でも扱っているエンジンオイルや添加剤を使い、以下いずれかの方法で対処しましょう。
- オイル滲みが見られる箇所にブレーキクリーナーを吹き付け、布で拭き取る
- オイルにエンジンオイル添加剤を混ぜ、シールの伸縮性と弾力性を回復させると共にエンジンオイルの粘度を上げる
- メーカーが指定・推奨する現在の粘度よりも、高い粘度のエンジンオイルに入れ替える
- 焼き付き等のエンジントラブル防止のため、粘度が同じオイルを規定量まで注ぎ足す
ただし、これらはいずれもエンジンオイルの滲み・漏れによる不具合を軽減するための一時的な処置にすぎません。
またエンジンオイル添加剤等、使ってから効果が表れるまでに数日かかるものもあります。
エンジンオイルが漏れたり、滲んだりする原因の解決にはなりませんので、必ず早めに修理工場棟へ持ち込み、以降に紹介する根本修理をしてもらってください。
関連記事:「エンジンオイルの粘度は上げるべき?目的や選び方、注意点を解説」
エンジンオイルの滲み、漏れへの根本修理
エンジンオイルの滲みや漏れに根本的に対処するには、原因の箇所や劣化部品を特定し、適切な状態になるよう修理・交換する他ありません。
先に紹介したシール材やパッキン、ガスケット、ドレンボルト、シリンダー、ピストンリング等を中心とした点検を整備士に依頼し、修理してもらいましょう。
なお、エンジンやオイルパンの状態によっては部品単位ではなく、いくつかの部品を組み合わせたエンジンassyやエンジン全体の交換が必要になる可能性もあります。
場合によっては廃車にした方が安く済むケースもありますので、しっかりと整備士に相談した上で、対処法を決めることをおすすめします。
関連記事:「不要な車の部品、どう処分する?適切に廃棄するための3つの方法」
エンジンオイルの滲み、漏れへの予防対策は?
エンジンオイルの滲みや漏れへの最も有効な予防策は、プロによるこまめな点検と整備です。
半年~1年に1回は車を整備工場に持ち込み、オイルフィルターの様子と一緒にエンジンオイルの滲み・漏れがないかを確認してもらうと良いでしょう。
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