アドブルーが必要な車はディーゼル車!尿素SCRシステムと一緒に搭載する理由とは?
アドブルーは、尿素SCRシステムを搭載するディーゼルエンジン車にのみ、必要な薬剤です。
そこで今回は、小型・普通車からトラック等の大型車向けまで、幅広く車用品を扱う琴平自動車が、アドブルーが必要な車について解説。具体的な車種や、ディーゼルエンジンと尿素SCRシステムのメカニズムの他、近年のディーゼル車にアドブルーが必要になった理由まで、わかりやすく紹介していきます。
目次
アドブルー(AdBlue)の搭載が必要な車の具体例
冒頭で述べた通り、アドブルーが必要な車とは「尿素SCRシステムを搭載するディーゼル車」のことです。代表的な例としては、産業・商業用として使われるトラックやバス等が挙げられますが、一般的な車よりも大きい分パワーが必要なSUV車やバン、頑丈で悪路の走破性にも優れたクロカン(クロスカントリー)車等、乗用車タイプのディーゼル車にも、アドブルーが必要な種類があります。
アドブルーが必要ない車は?
アドブルーは、尿素SCRシステムという排出ガス浄化システムを機能させるための薬剤です。
そのため、尿素SCRシステムを搭載していないディーゼルエンジン車や、同システムを搭載する必要がないガソリンエンジン車には、アドブルーの搭載も必要ありません。
アドブルーが必要なこともあるディーゼルエンジン車とは
それでは、なぜ一部のディーゼルエンジン車に尿素SCRシステムとアドブルーが搭載されているのでしょうか。その理由を探るために、まずはディーゼルエンジンの仕組みについて、ガソリンエンジンと比較した場合のメリット・デメリットと併せて、大まかに説明していきます。
ディーゼルエンジンとは?ガソリンエンジンとの違い
ディーゼルエンジンとは、軽油を燃料とするエンジンのこと。圧縮加熱した空気に液体燃料である軽油を吹きかけて自然発火させ、燃焼によって生じるガス膨張をエネルギーへ変換し、車を動かす仕組みになっています。
対してガソリンエンジンは、その名の通り、燃料としてガソリンを使用するエンジンのこと。ガソリンと空気を混ぜた混合気と呼ばれる気体に火花で点火し、燃焼と膨張を繰り返し起こすことで、エネルギーを生み出しているのが特徴です。
ディーゼルエンジンとガソリンエンジンは、主に燃料の種類と点火方法、エネルギーの生み出し方という3点において違いがあると理解しておきましょう。
ディーゼルエンジン車のメリット
ガソリンエンジン車と比較した場合のディーゼルエンジン車のメリットとしては、以下が挙げられます。
- ガソリンよりも軽油の方が税率が低く、消費量も少ないため燃料費用が安く済む
- 燃焼効率が良く低速トルクに優れているため、重い荷物やたくさんの人を運びやすい
- ガソリンエンジンに比べてエンジン自体が頑丈であるため、耐久性が高い
ディーゼルエンジン車のデメリット
一方で、ガソリンエンジン車と比較した場合のディーゼルエンジン車のデメリットとしては、以下が挙げられるでしょう。
- パワーが大きい分、ガソリンエンジンに比べて稼働時の振動や騒音が大きくなる
- 排気ガスから、人体と地球環境にとって有害な窒素酸化物(NOx)が排出されてしまう
- 排出ガス規制強化に対応するため、排出ガス浄化システムを搭載する必要がある
アドブルーが近年のディーゼルエンジン車に必要な理由
先述のデメリットにある通り、ディーゼルエンジン車はガソリンエンジン車に比べ、排出ガス中に含まれる有害物質の量が多いという特徴があります。そこで近年、世界的な排出ガス規制強化の流れを受けて、排気ガスをクリーンにする目的で積極的にディーゼルエンジン車への搭載が進められてきたのが、尿素SCRシステムとアドブルーなのです。
ここからは、尿素SCRシステムとは何か、アドブルーと一緒に働く仕組みや役割から、アドブルーが近年のディーゼルエンジン車に必要な理由を理解していきましょう。
尿素SCRシステムとアドブルーが働くメカニズム
尿素SCRシステムは、ディーゼルエンジンの排気経路上に設置されています。車のエンジンの動きを制御するECU、アドブルーを入れたアドブルータンク、そしてアドブルー添加システムと連動して、以下のようなメカニズムで排気ガスをクリーンにし、外部へと排出します。
- マフラー内部で、ディーゼルエンジンから排気されたガスにアドブルーが噴射される
- 噴射されたアドブルーは高温下で気化、さらに酸化触媒と尿素SCR触媒の中で加水分解されて、アンモニアガスになる
- アンモニアガス(NH3)が、排気ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)と化学反応を起こすことで、窒素酸化物が環境にとって無害な窒素(N)と水(H2O)に分解される
関連記事:「アドブルーとは?尿素SCRシステムの仕組みやディーゼル車での役割と一緒に学ぼう」
そのままでは臭いが強く、可燃性もあるアンモニアを安全に車載・使用するために開発されたのが、尿素と純水を32.5%:67.5%の比率で混合した高品位尿素水「アドブルー」なのです。
なお「アドブルー」「AdBlue」は、ドイツ自動車工業会(VDA)の商標登録であり、琴平自動車でもお取り扱いしている製品の一つです。アドブルーという商品名を使用できる高品位尿素水は、原則、ドイツ自動車工業会から認証を受けた製品のみとなります。
アドブルーはディーゼル車の排気をクリーンにする
排気ガス中の有害物質を直接分解・浄化する働きを担うアドブルーは、尿素SCRシステムを搭載するディーゼル車にとって不可欠な存在です。
近年の一部ディーゼル車にアドブルーが必要な理由は、世界的な排出ガス規制に対応するとともに、安全かつ地球と人体にやさしい走行を可能にするためだと理解しておきましょう。
走行だけでなくディーゼル車の始動にもアドブルーが必要
ディーゼル車の走行時に少しずつ噴射・消費されていくアドブルーは、定期的に補充が必要な消耗品です。また尿素SCRシステムを搭載する車の多くは、アドブルータンクの残量や濃度を検知する機能も備えているため、排出ガス浄化に必要なアドブルーがなくなると、エンジンを始動できなくなる仕組みになっています。
もし走行中にアドブルーがなくなっても走行を続けることは可能ですが、アドブルーの残量がない状態でエンジンを停止させると、補充が完了するまで再始動させることができません。
尿素SCRシステムを搭載するディーゼル車を使う際は、走行の度にメーター横の警告灯でアドブルーの残量をしっかりとチェックし、こまめに補充してアドブルー切れを予防しましょう。
走行中にアドブルー切れを起こした場合の対処法
走行中にアドブルー切れに気が付いた時は、エンジンは切らずに、そのままアドブルーを購入できる店舗へ向かってください。具体的には、お乗りの車を購入したディーラーやカーショップの他、最寄り、またはトラック等の利用が多い高速道路近くのガソリンスタンドを目指すのがおすすめです。
なお、アドブルー切れに際してタンクに水や油を混入したり、他の割合で調合された尿素水やアンモニア水、水道水、尿等の液体をアドブルーの代替品として使用するのは大変危険です。
排出ガス浄化機能が正しく働かないばかりか、触媒の腐食や、DPFが目詰まりする原因となることもあるため、絶対にやめてください。
関連記事:「アドブルーの代わりに水を入れると危険?代替品の使用が車に及ぼす影響・リスクとは」
アドブルーの補充が必要な走行距離・かかる費用の目安一覧
一般的にアドブルーの補充が必要になるタイミングは、エンジンオイルの交換周期とほぼ同じだと言われています。そのため1年に1回を目安に補充すれば、走行中にアドブルー切れを起こす可能性は限りなく低くなると考えて良いでしょう。
ただ、実際のアドブルーの消費ペースは車種や用途、積載重量等の使用条件により変わってきます。そこで以下からは、より確実にアドブルーの補充をしていきたいという方に向けて、補充が必要になる走行距離や購入にかかる費用の目安を、それぞれ一覧で紹介していきます。
関連記事:「エンジンオイルの量はいつ確認する?タイミングや正しい手順を解説」
アドブルー補充が必要な走行距離の目安
一般的にアドブルーは、1,000㎞走るごとにおよそ1リットル、軽油使用量に対して3%消費されると言われています。また乗用車タイプ、各サイズのトラックのアドブルータンク容量の目安は、それぞれ以下の通りです。
- 乗用車タイプ:7~13リットル
- 小型(2t)トラック:15~30リットル
- 中型(4t)トラック:30~40リットル
- 大型(10t)トラック:40~60リットル
そして、先述の一般的なアドブルーの消費ペースと各車種のタンク容量を基準に、タンクを満タンにしてから補充が必要になるまでの走行距離を割り出すと、以下のようになります。アドブルーの補充タイミングを計算する際の参考として、ぜひお役立てください。
- 乗用車タイプ:およそ6,000~12,000㎞
- 小型(2t)トラック:およそ12,000~27,000㎞
- 中型(4t)トラック:およそ26,000~36,000㎞
- 大型(10t)トラック:およそ35,000~55,000㎞
関連記事:「トラックのアドブルー消費量目安を紹介!節約や燃費向上のためにできることとは」
アドブルーの補充に必要な費用の目安
続いては、琴平自動車での販売価格を基準に、各車種のアドブルータンクを満タンにするのに必要な費用の目安について確認していきましょう。
琴平自動車では、平均で10リットルあたり3,000円〜、20リットルあたり4,000円〜アドブルーを販売しています。この金額と先ほど紹介した各車種のアドブルータンクの容量から、満タンにするのに必要な費用の目安を計算すると、以下のようになります。
- 乗用車タイプ:1,500~5,000円前後
- 小型(2t)トラック:5,000~10,000円前後
- 中型(4t)トラック:10,000円前後
- 大型(10t)トラック:10,000~15,000円前後
ただし、アドブルーの販売価格は店舗・企業により異なります。上記はあくまで参考として捉え、実際に必要な費用については、アドブルーを購入される店舗へ直接確認してください。
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