エンジンオイルの乳化を解説!原因と予防対策、発生後の対処法は?
エンジンオイルの乳化は、車のエンジンオイルに発生する代表的なトラブルの一つです。
そこで今回は、小型・普通車向けからトラック等の大型車向けまで、オイル類を含め幅広く車の部品を扱う私たち琴平自動車が、エンジンオイルの乳化について分かりやすく解説します。
エンジンオイルが乳化する原因や発生予防のためにドライバーができる対策、また乳化が起こってしまった場合の対処法まで紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
どういう現象?エンジンオイルの乳化とは
乳化とは、水と油等、本来は混ざり合わないはずのものが均一に混ざり合うことを言います。
「エマルジョン」とも呼ばれる現象で、身近な例としては、乳化現象を利用して酢と油を混ぜ合わせて作るドレッシングや、マヨネーズ等が挙げられるでしょう。
そしてエンジンオイルの乳化とは、何らかの理由でエンジンオイルの中に水分が混入し、オイルと水が均一に混ざり合ってしまうこと。
本来、水と油は相反する性質を持つため混ざり合うことはありませんが、エンジン内でエンジンオイルと水分がかき混ぜられることで、乳化が起こってしまうのです。
なお一度乳化を起こしたエンジンオイルは、再び分離して元の状態に戻ることはありません。
エンジンオイルは乳化するとどうなる?確認する方法は?
無着色のエンジンオイルは透明に近い茶色、または茶褐色をしていますが、乳化したエンジンオイルは透明度を失い、白濁した見た目に変わります。
そのため他の異常に比べわかりやすく、あまり車に詳しくない人でも見つけやすいのが特徴です。
お乗りの車のエンジンオイルが乳化していないか心配、という場合は、車のエンジンを停止させてから以下の方法で確認しましょう。
- オイルレベルゲージを引き出し、付着しているオイルが白濁しているかを見る
- オイルフィラーキャップを開け、裏側に乳白色の堆積物が溜まっているかを見る
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水分の混入とエンジンオイルの乳化が起こる原因
エンジンオイルが水分と混ざり合うことで起こる乳化ですが、そもそもなぜ、エンジン内部への水分の混入が起こるのでしょうか。
エンジンオイルに水分が混入し、乳化を引き起こす原因としては以下2つが挙げられます。
エンジン内に結露が発生し、水分が残っている
ガソリンエンジンは、外部から空気を取り込んで燃料と混ぜ合わせて混合気を作り、その混合気を着火・燃焼させることで、車の走行に必要な動力を得ています。
吸入する空気の中には水分も混じっていますが、通常、取り込まれた水分は暖機運転や長距離での走行中に蒸発するため、エンジン内に残ることはありません。
しかし、以下のようなケースではエンジンの温度が上昇しにくいため、エンジン内に侵入した水分が蒸発せず、結露としてオイルパンに残ってしまうことがあります。
- 1回あたりの走行距離が8㎞以下と、短距離での使用がメインである
- エンジンを始動させた後の暖機運転が十分に行われていない
- エンジンの始動と停止をこまめに繰り返すハイブリッドカーである
オイルパンに溜まった水分は、やがてエンジンの動きによってエンジンオイルと完全に混ざり合い、乳化を起こしてしまうのです。
部品の破損等、何らかのエンジントラブルが起きている
エンジン内には、エンジンオイル等が通るオイルギャラリーと呼ばれる通路と冷却水が通るための通路があり、両者は完全に分離されています。
しかし、ガスケットの劣化や冷却水通路のクラック等のエンジントラブルが起こると、冷却水が漏れ出し、エンジンオイルと混ざり合うことがあります。
オイルパンを結露させてしまうような使い方をしていないにもかかわらず、エンジンオイルの乳化が確認された場合は、何らかのエンジントラブルを疑うべきでしょう。
エンジンオイルの乳化を放置することのリスク
エンジンオイルは、大きくエンジン内の潤滑、密封、冷却、洗浄、防錆の5つの役割を担っていますが、乳化するとこれらすべての機能が著しく低下します。
特に潤滑作用、密封作用が低下することの影響は深刻で、エンジンオイルによる油膜保護を失ったエンジン部品は激しい摩擦を起こし、異音を発生させるようになります。
また、気密性を失ったエンジンからはエネルギーが漏れ出すため、車の燃費も低下。
部品同士の摩擦から発生した熱を冷却することもできず、車を使う度にエンジンへダメージが蓄積され、やがては焼き付き等の重大なエンジントラブルを引き起こします。
そうなると、エンジンそのものの交換やオーバーホールが必要になり、莫大な修理費用が必要になります。
エンジンオイルが乳化したまま車を使い続けることには、何のメリットもありません。エンジンオイルの乳化に気が付いたら絶対に放置せず、速やかに対処すべきと心得ましょう。
エンジンオイルが乳化したら、オイル交換で対処を!
一般的にエンジンオイルは車を購入してから、または最後にエンジンオイルを交換してから以下の走行距離・利用期間を過ぎると、交換すべきだと考えられています。
- 走行距離の場合:普通車なら5,000~15,000㎞、大型車なら10,000~40,000㎞
- 利用期間の場合:普通車なら半年~1年、大型車なら1年に1回
ただし、エンジンオイルの乳化が確認された場合は重大なエンジントラブルに発展する恐れがあるため、走行距離・利用期間に関わらず速やかなオイル交換が必要になります。
乳化が確認された段階で修理工場や整備工場、カーショップへ車を持っていくか、レッカーサービス等を利用して、できるだけ早くエンジンオイルを交換してください。
関連記事:「エンジンオイルの劣化をどう判断する?基準と交換時期の見極め方」
乳化したエンジンオイルの交換にかかる費用の目安は?
エンジンオイルの交換にかかる費用は、新しいエンジンオイルの代金に整備士による交換工賃を足して計算されます。
エンジンオイルの価格は普通車向けか大型車向けか、またオイルのグレード等によっても変わってきますが、琴平自動車で扱っているものでは1缶あたり15,000~20,000円です。
対して、エンジンオイルの交換工賃の目安は2,000~5,000円ですから、乳化したエンジンオイルの交換に必要な費用は17,000~25,000円程度と考えておけばよいでしょう。
関連記事:「車の部品・消耗品の交換時期は?必要な費用の目安と一緒に解説!」
エンジンオイルを乳化させない!有効な予防対策
最後に、エンジンオイルを乳化させず、長持ちさせるためにドライバーができる予防策を2つ紹介していきます。
エンジン内が結露しないよう、30分以上の走行を心がける
エンジンオイルの乳化が起こる原因の一つは、エンジンの温度が十分に上がらないためにエンジン内部に水分が残り、結露することにあります。
そして、このエンジン内部の結露の解消には、エンジンをしっかり温めることが効果的です。
「普段からちょい乗りが多い」という方や、「ハイブリッドカーに乗っている」という方は、定期的に30分以上の距離を走行するだけでもエンジンオイルの乳化を予防できるでしょう。
こまめに車を点検に出し、エンジンオイルの交換を検討する
エンジンオイルの乳化を予防する最も確実な方法は、こまめに車を点検に出すことです。
車のプロである整備士は、ドライバーが気付くことのできないちょっとした異常や不調からエンジンの乳化を見つけ、早めのオイル交換を提案してくれます。
特に1回あたりの走行距離が短い車はエンジンオイルの劣化・乳化が起こりやすいので、半年に1回を目安に点検に出すようにしましょう。
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