カーバッテリーの充電に必要な時間は?目安と注意点を方法別に解説
長い間車を動かさないでいると、カーバッテリー内部に蓄積された電力がすべて放電された「バッテリー上がり」という状態に陥り、エンジンをかけることができなくなります。
そこで今回は、小型・普通車向けからトラック等の大型車向けに至るまで、カーバッテリーや車の部品を幅広く扱う琴平自動車が、カーバッテリーの充電にかかる時間について解説。
走行時はもちろん、アイドリングやカーバッテリー用充電器を使った充電時間の目安まで紹介していきますので、個人や法人で車をお持ちの方は、ぜひ参考にご覧ください。
目次
カーバッテリーの充電時間は、方法により異なる
放電により、バッテリー上がりを起こしてしまったカーバッテリーを充電する方法としては、大きく以下の3つが挙げられるでしょう。
- 走行をしながら充電する
- アイドリングをして充電する
- 充電器を使って充電する
上記のうち、車を走行またはアイドリングさせてカーバッテリーを充電する方法は、ひとまずエンジンをかけられた場合に使える充電方法です。
ライトやエアコン等の車載システムを動かせるほどではないけれど、エンジンをかけられたという場合や、近くにいた車に以下のような方法で救援してもらえる場合に役立つでしょう。
他車の救援を得て、バッテリー上がりを解消する手順
- バッテリーが上がった車の近くに、救援車を付けてもらう
- 救援車のエンジンはかけたまま、ブースターケーブルで2台のバッテリーをつなげる
- まず、赤いブースターケーブルを救援車、バッテリー上がりの車の順に+端子とつなぐ
- 黒いブースターケーブルは、救援車のマイナス端子とバッテリー上がりの車のマイナス端子付近にある金属製のフックとつなげる
- 接続が完了したら、救援車のアクセルをふかし、エンジンの回転数を上げてからバッテリー上がりを起こしている車のエンジンをかける
- エンジンがかかったら、一定量の蓄電ができるまで20分ほど、そのままの状態で待つ
対して、充電器を使った充電方法では、近くに救援車がいなくてもカーバッテリーを充電することができます。
ただし、車専用の充電器や家庭用コンセント等が必要な方法であるため、主に自宅や駐車場に車を停めている場合に効果的な充電方法だと理解しておきましょう。
走行してカーバッテリーを充電する場合の時間目安
ここからは、バッテリー上がりを起こしたカーバッテリーを充電するのに必要な時間の目安について、それぞれの方法別に紹介していきます。
まず、エンジンがかかった車をそのまま走行させ、次回、問題なくエンジンをかけられる程度までカーバッテリーを充電するのにかかる時間は、30分~1時間ほどです。
ただし、走行中にエアコンやパワーウインドウ、カーステレオ等の電装品を稼働させると、せっかく発生した電力が消費され、カーバッテリーへの充電が進まなくなってしまいます。
充電目的で車を動かす場合は、以下の条件を満たす運転を心がけて、効率よく走りましょう。
- 速度は時速50㎞程度で、30分~1時間ほど走り続ける
- タコメーターを見て、エンジンの回転数が2,000回転以上になるよう調整する
- ライトを含む電装品は、極力使用しない
なお、エンジンの回転数を確認できるタコメーターとは、ダッシュボードにある各種計器のうち1~8までの数字が書かれたメーターのことです。
プロの運転手でなければあまり見ることのない箇所ですが、カーバッテリーを充電する必要が出てきたときのために、覚えておくと良いでしょう。
関連記事:「車を構成するパーツとは?代表的な部品の名称・役割を一覧で紹介!」
アイドリングでカーバッテリーを充電する場合の時間目安
続いて、停車したままエンジンをかけ続けるアイドリングでカーバッテリーを充電する際に必要な時間の目安について、見ていきましょう。
カーバッテリーは、エンジンの回転数に応じて発生した電気を蓄える仕組みになっています。
充電するには、ある程度エンジンを回転させる必要がありますが、アイドリングでは500~1,000回転ほどが限界で、時速50㎞で走行する場合の半分ほどしか回転数を得られません。
そのため、アイドリングでのカーバッテリー充電には、走行時の倍ほどの時間がかかります。
具体的には、最低でも1時間はかかると言われており、この結果は、アイドリングストップ車のカーバッテリーであっても変わらないので、注意が必要です。
また、アイドリングには、排気ガスと騒音により周囲に迷惑がかかるという側面もあります。
住宅街やマンション、市街地の駐車場等で行うと重大な迷惑行為となる恐れもあるため、アイドリングをするよりも車を走らせて充電するのが望ましいでしょう。
充電器でカーバッテリーを充電する場合の時間目安
最後に、充電器を使う場合のカーバッテリーの充電時間について、見ていきましょう。
車用の充電器には、大きくバッテリーチャージャー(普通充電器)とジャンプスターター(急速充電器)の2種類があり、それぞれ以下のような特徴を持っています。
バッテリーチャージャーの特徴
- カーバッテリーを普通充電するための充電器
- 8~12時間かけてゆっくり充電していくため、バッテリーを傷めにくい
- 充電量をほぼ100%にすることが可能
ジャンプスターターの特徴
- カーバッテリーを急速充電するための充電器
- 30分ほどで、ひとまずエンジンをかけられる状態まで充電できる
- バッテリーを傷めやすいため、長時間の使用は不可
カーバッテリーの電圧と電流は、車やバッテリーの種類によって決まっており、充電時には、それぞれのバッテリーに合わせて充電器の電圧・電流を設定しなければなりません。
電圧については、カーバッテリーの基本電圧である12V(ボルト)に設定すればOKです。
一方で電流については、カーバッテリーの性能ランクからAh(アンペアアワー)の単位で表される電気容量を確認し、以下の通りに設定する必要があります。
- バッテリーチャージャーを使う場合:電気容量の10分の1の値に設定
- ジャンプスターターを使う場合:電気容量の1分の1の値に設定
例えば、電気容量が21~24Ahのカーバッテリーを充電したい場合。
バッテリーチャージャーを使って普通充電するなら、電流は電気容量の10分の1の値である2~3A(アンペア)に設定すると良いでしょう。
対して、ジャンプスターターで急速充電する場合は、電流を電気容量とほぼ同じ値である15~20Aに設定して、充電を行います。
バッテリー上がりにより、充電器を使ってカーバッテリーを充電する際には、充電器の種類とカーバッテリーの電気容量を確認した上で、適切な時間・電流で充電してください。
充電器を使ったカーバッテリー充電の手順
以下に、バッテリーチャージャーを使ってカーバッテリーを普通充電する場合の基本的な手順を紹介します。充電器に付属の取扱説明書と合わせて、作業時の参考にしてください。
- 車からカーバッテリーを取り出し、上部の液口栓を外す
- カーバッテリーの+極に赤いブースターケーブルを、-極に黒いケーブルを接続する
- バッテリーチャージャーの電源をコンセントに差し込み、ブースターケーブルとつなぐ
- バッテリーチャージャーの表示から、現時点の充電量と電圧を確認する
- カーバッテリーの電気容量をもとに電流の値を調整し、充電を開始する
- 数時間おきに様子を見て、充電量が90%を超えたら充電完了
関連記事:「カーバッテリーの選び方を紹介!性能やサイズ・種類を決める上での注意点は?」
充電器を使ってカーバッテリーを充電する際の注意点
バッテリーチャージャーやスピードスターター、ブースターケーブル等カーバッテリーの充電に必要な道具は、いずれも数千円から購入可能であり、琴平自動車でも取り扱っています。
そのため、作業手順と電圧・電流の設定さえ間違えなければ、充電作業自体はどなたでも対応可能です。
ただし、カーバッテリーを充電するための一連の作業には、以下のような危険も伴います。
- カーバッテリーの取り外し作業や、内容液である希硫酸によるケガのリスク
- 充電中に発生する酸素ガスや水素ガスに火花等が引火し、爆発するリスク
- 充電の際の時間管理や、方法を誤ったことによるカーバッテリー故障のリスク 等
カーバッテリーを車から取り外す作業や、適切な充電方法・時間の判断は、車について詳しい方でなければ難しい場合もあります。
もし、充電器や車の取扱説明書を読んでもわからないこと・心配なことが出てきた場合は、作業を始める前に、必ず車の専門家である整備士に相談しましょう。
日常点検でカーバッテリーが上がるのを防ごう
放電によるバッテリー上がりは、こまめな日常点検により、ある程度対策・予防できます。
以下を参考に、1か月に1度を目安にカーバッテリーの状態を確認する癖をつけて、バッテリーの劣化を食い止めましょう。
日常点検のポイント①車の使用中に、違和感や異音がないか
エンジンの始動時や走行中に、以下のような異常を感じた場合は、カーバッテリーの蓄電能力が低下したり、放電が進んでいるものと考えられます。
- エンジンをかける時に、以前に比べてセルモーターの回転が遅い
- 室内灯やヘッドライトが以前より暗い、または停止すると暗くなる
- 特に設定し直していないのに、車内の時計がリセットされている
日常点検のポイント②カーバッテリーの外観と液面に変化はないか
特に違和感がなくても、定期的にカーバッテリーの状態を確認しておいて損はありません。
以下を参考に、1か月に1回はカーバッテリーが格納されているボンネット等を開け、目で見てわかる異常が発生していないか点検しましょう。
- カーバッテリーの電槽に破損や変形がないか
- 電槽内の液面が最低液面線と最高液面線の間にあり、規定量の電解液が入っているか
- 端子やケーブルに、液漏れによる腐食や錆びが起きていないか
- 走行中の振動により、金具やケーブルの固定が緩んでいないか
なお、電槽に汚れがある場合は湿った布で拭き取り、腐食や錆びがある場合はサンドペーパー等で磨いた上、錆止め剤を薄く塗布して対策します。
液面が最低液面線を下回っている場合は、バッテリー用の精製水を槽内へ補充してください。
また、ターミナルやカーバッテリーを固定する金具が緩んでいるようであれば、しっかりと締め直して、振動による劣化を防ぎましょう。
日常点検のポイント③カーバッテリーの電圧や比重に異常はないか
外観や液面を見ただけでは、カーバッテリーの劣化度合いや機能低下について詳しく確認することはできません。
そこでおすすめしたいのが、バッテリーテスターを使った内部抵抗と電圧の確認や、比重計を使った放電状況のチェックです。
各種の機器を揃えるには費用がかかりますが、充電器と同じく、いずれも1つ数千円程度で購入できます。バッテリー上がりが心配な方は、購入して、定期点検に使っても良いでしょう。
なお、カーバッテリー(ハイブリッド車の場合は補機用バッテリー)は、2~5年での交換が必要な消耗品です。
日常的に点検とケアをしていても状況が改善しなかったり、比重のばらつきが大きい場合は、カーバッテリーを交換すべきタイミングかもしれません。
できるだけ早く整備士に相談して、点検と新品カーバッテリーへの交換を依頼しましょう。
関連記事:「車の部品・消耗品の交換時期は?必要な費用の目安と一緒に解説!」
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