アドブルーが結晶化する原因とは?発生後の適切な対処法・予防策と併せて解説
ディーゼル車に搭載され、排気ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)を分解・浄化する役割を担うアドブルーには、外気温によって変質や性能の低下、結晶化が起こることがあります。
そこで今回は、小型・普通車からバスやトラック等を含む大型車向けまで幅広く車用品を扱う琴平自動車が、アドブルーが結晶化する原因や解決策、予防法等について解説していきます。
目次
アドブルー(AdBlue)の結晶化・変質の主な原因は外気温
「アドブルー」「AdBlue」は、ドイツ自動車工業会(VDA)の登録商標であり、琴平自動車でもお取り扱いする製品の一つです。尿素と純水を32.5%:67.5%の割合で混合した高品位尿素水のうち、ドイツ自動車工業会から認証を受けた製品のみが、アドブルーの名称で呼ばれます。
そんなアドブルーには、周辺気温の影響を受けて変質しやすいという特徴があります。具体的には、気温が上がるごとに製品としての寿命(保管や使用が可能な期間)が短くなっていく他、-11度以下になると凍結し、白く結晶化してしまうのです。
アドブルーの結晶化は、低温下で水が氷になるのと似た現象なのだと理解しておきましょう。
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気温以外の原因から、アドブルーが結晶化するケースも
基本的には、外気温が-11度以下の低温になることで発生するアドブルーの結晶化ですが、他の原因から発生するケースもあります。例えば以下のような場合には、低温下でなくてもアドブルーに含まれる尿素や、その他の不純物が白く結晶化する可能性があるでしょう。
- 少量のアドブルーがタンクから溢れ、キャップの周辺に付着し結晶化した
- 衣服に付いたり、床等にこぼしたアドブルーから水分が蒸発し、白い結晶のみが残った
- アドブルーを噴射する装置等に不純物が付着し、結晶化して目詰まりを起こした
- 尿素に含まれる不純物がマフラー内で結晶化し、白い固形物になった 等
関連記事:「アドブルーの主原料は尿素!他の含有成分や取り扱う上での注意点は?」
アドブルーが結晶化してしまった時の対処法は?
ディーゼルエンジン車のアドブルータンクや、購入時のタンク・バッグに入ったアドブルーが低温によって結晶化しても、品質が大きく変わることはありません。溶かして液体に戻せば、問題なく高品位尿素水として使用できますので、暖めて溶かしてしまいましょう。
なお、尿素SCRシステムを搭載するディーゼルエンジン車はアドブルーなしでは動かせない仕組みになっていますが、アドブルーが結晶化した状態でもエンジンの始動はできます。
外気温の上昇により自然とアドブルーが溶けるのを待てない時は、暖機運転をしてエンジンを暖め、アドブルーを溶かしてから走行すると良いでしょう。
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結晶化により目詰まりを起こしている時は、整備士に相談を!
先述した通り、低温による結晶化であれば、アドブルーを溶かして使えば問題ありません。
しかし、アドブルーに含まれる尿素や不純物がマフラーや触媒、DPFの内部で結晶化し目詰まりを起こしている場合は、整備士による修理やパーツの交換が必要になることもあります。
ディーゼルエンジンから出る排気ガスの排出経路上等、アドブルータンク以外の場所に白い結晶や固形物を見つけたら、できるだけ早く整備士に相談の上、点検を依頼してください。
アドブルーの結晶化を予防するためにできること
ここからは、アドブルーの結晶化を防ぐためにドライバーができることを紹介していきます。
以下4つのポイントを参考に、アドブルーの購入時・保管時に可能な限りの対策をして、結晶化を起こさないようにしましょう。
-10度以下にならない場所で保管する
外気温によるアドブルーの結晶化は、保管場所を変更することである程度予防できます。以下にアドブルーの変質や、結晶化を予防できる保管場所の条件をまとめましたので、保管場所を選ぶ際にお役立てください。
- 年間を通じて周辺気温が-10度以上、30度以下に保たれる屋内
- 直射日光が当たらず、風通しの良い場所
- 雨水や水道水、砂等の異物が混入する恐れのない場所
アドブルーは必要な時に購入する
アドブルーを変質・結晶化させずに使い切る最も確実な方法は、買い置きと車内等での長期保管を避け、必要な時に必要な分だけ購入してアドブルータンクに補充することです。
予備のアドブルーの保管場所になることの多い車内や会社事務所、倉庫等は、地域によっては-10度を下回ることもあります。外気温の影響を受けやすい特性上、一般的な事務所や車内でのアドブルーの長期保管は難しいと考えられますので、保管の方法や場所と一緒に購入のタイミングも工夫することをおすすめします。
タンク外に付着したらすぐ取り除く
アドブルーには、鉄や銅、砲金、アルミ等の一部金属を腐食させる性質があります。結晶化を避けるため、また他の金属製パーツの腐食を防ぐためにも、アドブルータンク以外の場所に付着したアドブルーは必ずきれいなウエスで拭き取り、水で洗い流すようにしてください。
結晶化防止効果のある添加剤等を使う
アドブルーを取り扱うカーショップやガソリンスタンド等では、併せてアドブルーの結晶化防止効果を持つ添加剤等が販売されていることがあります。
アドブルー添加剤とは、アドブルーの性能を高めたり、性質を向上させるために開発された薬剤のこと。結晶化防止効果のある添加剤の場合は、アドブルーが結晶化することによる車両トラブルや不調を予防するために、車用品や燃料、工業製品用のオイル等を取り扱う企業が開発や輸入、販売を手掛けるのが一般的です。
特に寒冷地で走行することが多く、結晶化による被害や不利益を少しでも減らしたいという場合は、結晶化防止効果のあるアドブルー添加剤の使用を検討しても良いかもしれません。
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