エンジンオイルの種類や違いを解説!性能を変える4つの要素とは?

エンジンオイルの違いを解説!種類や性能を変える4つの要素とは?

車のエンジンオイルにはさまざまな種類があり、それぞれの性能や特徴には違いがあります。

そこで今回は、小型・普通車からトラック等の大型車向けまで、エンジンオイルを含む車のパーツを幅広く扱う琴平自動車が、エンジンオイルの違いについて解説。

エンジンオイルの性能を決める4つの要素について説明するとともに、種類に関わらず定期的な交換が必要になる理由や、タイミングの目安まで紹介していきます。

エンジンオイルの交換時期が近く、オイルの種類や違いについて知りたいと考えている方は、ぜひ参考にご覧ください。

エンジンオイルの違いは用途・ベース・粘度・規格で決まる

エンジンオイルの違いは用途・ベース・粘度・規格で決まる

エンジンオイルの基本的な役割はエンジン内の気密性と潤滑性を維持し、さらに冷却・洗浄・防錆をして、車の安全かつ快適な走行を助けることです。

そのため、メーカーにより異なる性能を持つエンジンに対応できるよう、エンジンオイルにもさまざまな違いを持つ種類が開発・販売されてきました。

なお、エンジンオイルの種類や性能の違いは、以下4つの要素により決まるとされています。

  1. 搭載エンジンの種類
  2. ベースオイルの種類
  3. 粘度
  4. 品質規格

ここからは、上記それぞれの要素がどのように各種エンジンオイルの違いを生むのか、より具体的に見ていきましょう。

エンジンオイルの違い①搭載するエンジンの種類

エンジンオイルの違い①搭載するエンジンの種類

エンジンオイルの違いを決める一つ目の要素が、オイルを搭載するエンジンが「ガソリンエンジン」か「ディーゼルエンジン」か、という点です。

ガソリンエンジンとは

ガソリンを燃料として稼働するエンジンのこと。外部から取り込んだ空気とガソリンを混ぜた混合気を圧縮した後に点火、燃焼させ、空気が膨張するエネルギーを利用し車を動かします。

ディーゼルエンジンとは

主に軽油を燃料として稼働するエンジンのこと。外部から取り込んで圧縮、熱した空気に燃料を吹きかけて発火させ、爆発する際に生じたエネルギーで車を動かしています。

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上記のうち軽油を燃料とするディーゼルエンジンでは、燃焼・爆発の際の化学反応により、エンジン内部を腐食させる硫黄酸化物が発生します。

そのためディーゼルエンジン用のエンジンオイルには、酸を中和し金属の腐食を遅らせるアルカリ成分が、ガソリンエンジンよりも多く添加されているのです。

つまり、エンジンオイルには添加剤の配合が異なる「ガソリンエンジン用」と「ディーゼルエンジン用」が存在するというわけですね。

なお近年では、小型・普通車の場合はガソリンエンジン、トラック等大型車の場合ではディーゼルエンジンが主流となっています。

エンジンオイルの種類選びに迷った時は、軽自動車や普通車向けならガソリンエンジン用、バスやトラックならディーゼルエンジン用を選べば問題ないでしょう。

エンジンオイルの違い②ベースオイルの種類

エンジンオイルの違い②ベースオイルの種類

またエンジンオイルは、ベースオイルの違いによっても性能や価格が変わってきます。

基油(きゆ)とも呼ばれるベースオイルとは、エンジンオイル等の基材となる油のこと。
その潤滑油が持つ性能を大きく左右する要素であり、エンジンオイルもベースオイルに各種の添加剤を加えていくことで、粘度や性質を調整して作られます。

具体的には、以下の「鉱物油」「全合成油」「部分合成油」「化学合成油」のうち、いずれかをベースオイルとするのが一般的です。

エンジンオイルのベースオイル①鉱物油とは

エンジンオイルに使われるベースオイルの中では、最も安価で取引される種類です。

そのためコストパフォーマンスには優れていますが、一方で揮発性が高く酸化が早いという弱点もあり、他のベースオイルを使ったエンジンオイルよりも頻回での交換が推奨されます。

また、古くから車のエンジンオイルに使われてきた歴史があるため、古い年式の車のエンジンオイルでは主流のベースオイルとなっています。

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エンジンオイルのベースオイル②全合成油とは

原油を蒸留して作った鉱物油に高度な精製を施し、硫黄等の不純物を極力取り除いて作る上質なベースオイルで、鉱物油や部分合成油よりも高値で取引されています。

始動性に優れている他、劣化しにくいという特性もあるため、サーキットでの走行を含めて走りにこだわりたいという方や、シビアコンディションでの走行が多い車におすすめです。

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エンジンオイルのベースオイル③部分合成油とは

鉱物油と全合成油を、ブレンドして作るベースオイルです。2種類のオイルを混合しているため、両者のメリットは活かしつつも、デメリットを補い合ったような性能を有しています。

全合成油に比べ価格が安価なところも魅力で、毎日車を使うという方におすすめです。

エンジンオイルのベースオイル④化学合成油とは

原料となるオイルを分子化した後、欲しい機能に合わせて人工的、化学的に構造を変化させて作る合成オイルです。

全合成油と混同して紹介・記載されることもありますが、全合成油が石油系炭化水素を主成分としているのに対し、化学合成油は合成系炭化水素を主成分としています。

普段から車を使っていて、自分でエンジンオイルを購入する機会がある人は、ぜひ知識として覚えておきましょう。

エンジンオイルの違い③粘度

エンジンオイルの違い③粘度

エンジン内部の部品を油膜で覆い、余計な摩擦によるダメージや発熱から守り、さらにクリアランスと呼ばれる部品同士の隙間を埋めるエンジンオイルには、ある程度の粘度が必要です。

実は、エンジンオイルを選ぶ上で最も重要とも言われているのが粘度であり、車の種類や状態に合った粘度のオイルでなければ、エンジン性能の低下や故障の原因となります。

そのためエンジンオイルの粘度も、エンジンやベースオイルの種類と並び、その性能の違いを決める重要な要素となっているのです。

エンジンオイルの粘度表記は、パッケージに「SAE規格」に沿って記載するのが一般的です。

具体的には、温度によらず粘度が一定に保たれるシングルグレードでは「SAE+20」等、低温時・高温時で粘度が変化するマルチグレードでは「0W-20」のように表記します。

また、シングルグレード・マルチグレードともに後半の数字が大きくなるほど粘度が高い(硬い)エンジンオイルであり、厚い油膜を張る保護性の高いオイルであることを示しています。

一方、マルチグレードの粘度を表す「W」の左側の数字は、そのエンジンオイルが適応できる最低気温の目安を表すものです。

「0W」~「25W」までの表記が表す最低気温の目安については、以下をご参照ください。

  • 0W :-35度
  • 5W :-30度
  • 10W :-25度
  • 15W :-20度
  • 20W :-15度
  • 25W :-10度

関連記事:「エンジンオイルの粘度指数とは?言葉の意味と粘度表記の読み解き方

粘度が高い、粘度が低いエンジンオイルの特徴

粘度表記後半の数字が大きく、粘度が高いエンジンオイルは、潤滑作用と密封作用に優れているのが特徴です。

長期間・長時間の使用により、エンジンの回転数が上がるようなシーンでは保護性が高い後年度オイルが役立ちますが、始動性や燃費性能においては低粘度オイルより劣ります。

古い車や高速道路をよく走るという車なら、高粘度のエンジンオイルを使うと良いでしょう。

一方で数字が小さい低粘度(柔らかい)のエンジンオイルは、気温の低い時期や地域、そしてエンジンが温まりにくいエコカーにおいて真価を発揮します。

寒冷地にお住まいの方や、アイドリングストップ機能を搭載したエコカー・ハイブリッドカー等にお乗りの場合は、比較的低粘度なエンジンオイルの使用が適しているでしょう。

関連記事:「エンジンオイルの粘度は上げるべき?目的や選び方、注意点を解説

エンジンオイルの違い④品質規格

エンジンオイルの違い④品質規格

エンジンオイルの性能を決める4つ目の違いは、オイルの品質や性能を表す規格(グレード)です。

具体的には、日本で販売されているエンジンオイルのほとんどが、以下いずれかの規格で分類されています。

お乗りの車のエンジンオイルがどの規格の認証を受けているのか、確認してみましょう。

API規格

認証品には「API SN」「API SP」等のアルファベットとともに、API規格のシンボルマークが記載されるアメリカ石油協会(American Petroleum Institute)による規格です。

「S」の後のアルファベットが大きいほど新しく、高性能なオイルであることを表しています。

ACEA規格

欧州自動車工業会(Association des Constructeurs Europeens d’Automobiles)の規格です。

ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンの車をサイズや機能、利用目的等によりA・B・C・Eの計4つに分類しています。欧州産の車のエンジンオイルにおいては、最も代表的な規格です。

JASO規格

日本自動車技術会(Japanese Automotive Standards Organization)によって定められた、国産クリーンディーゼルエンジン対応商品においての主流規格です。

そのため、日本のトラック等の大型車には同規格の「DH2」がよく使われています。

ILSAC規格

国際潤滑油規格諮問委員会(International Lubricant Standardization and Approval Committee)が、自動車エンジンの小型高出力化と環境負荷の低減を実現するために制定した企画です。

エンジンオイルの粘度についても独自の規格を設けており、SAE規格と一緒に併記されていることもあります。

エンジンオイルは種類や違いに関わらず、定期的な交換を

エンジンオイルは種類や違いに関わらず、定期的な交換を

搭載するエンジンやベースオイルの種類により、性能や特徴に違いが出るエンジンオイルですが、こまめな交換が必要な消耗品であるところは共通しています。

新車の購入時、または前回のオイル交換から数えて以下いずれかの節目がきたタイミングで、必ずエンジンオイルの点検・交換を実施しましょう。

  • 走行距離が普通車なら50,000㎞、大型車なら10,000㎞を超えた時
  • エンジンオイルの利用期間が普通車なら半年、大型車なら1年を超えた時
  • エンジンオイルの量を確認したところ、オイルの量が下限(オイルレベルゲージの下の段)を下回っていた時

関連記事:「エンジンオイルの量はいつ確認する?タイミングや正しい手順を解説

もし、車やエンジンの状態に合わせてエンジンオイルの種類を変えたい場合は、点検・交換の依頼と一緒に整備士に相談してください。

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