ギアオイルとミッションオイルの違いとは?交換時期・費用と一緒に解説

2023.06.19
ギアオイルとミッションオイルの違いとは?交換時期・費用と一緒に解説

車に使われる潤滑油のうち、ギアオイルとミッションオイルは特に混同されやすい種類です。

そこで今回は、小型・普通車向けからトラック等の大型車向けまで、車のパーツを幅広く扱う琴平自動車が、ギアオイルとミッションオイルの違いや種類について解説。

併せて、ギアオイルとミッションオイルの適切な交換時期と費用の目安、お乗りの車に合うオイルの選び方まで、まとめて紹介していきます。

ギアオイルとミッションオイルの違いについて知りたい方や、オイル交換の時期や方法について悩んでいるという方は、ぜひ参考にご覧ください。

ギアオイルとミッションオイルの違い

ギアオイルとミッションオイルの違い

ギアオイルとミッションオイルの役割は、どちらもギア(歯車)の表面に油膜を張ることで保護性と潤滑性を高め、各パーツの正常な稼働を助けることです。

一方で、それぞれのオイルが使われる範囲や装置については、以下のような違いがあります。

  • ギアオイル:エンジンが生み出す動力をタイヤへ伝える駆動系装置全般に使われる
  • ミッションオイル:車の駆動系装置のうち、MT車の変速機にのみ使われる

つまり、車のギアオイルとは駆動系装置に使われる潤滑油の総称であり、ミッションオイルとは、駆動系装置のうち変速機(トランスミッション)に使われる潤滑油だけの呼称なのです。

一般的に、ギアオイルは使う範囲や装置、効果の違いにより呼び方を変える場合があります。
ミッションオイルもそのような例の一つであり、ギアオイルのうち、特にMT車の変速機にのみ使う潤滑油のことを、区別してミッションオイルと呼んでいるのです。

ギアオイルという潤滑油の大きな枠組みの中に、使用する装置や用途の違いにより、ミッションオイル等の分類があると理解すれば良いでしょう。

なお、オートマチック・トランスミッションと呼ばれるAT車の変速機には、ATF(オートマチック・トランスミッション・フルード)という潤滑油が使われます。

ギアオイルとミッションオイルの違いと併せ、ATFという呼称についても覚えておきましょう。

エンジンオイルとの違いは?

駆動系装置に使われるギアオイル・ミッションオイルに対し、エンジンオイルは、動力を生み出すエンジンそのものに使われる潤滑油です。

また、ギアオイルとミッションオイルは主に潤滑性の向上と防錆の役割を担いますが、エンジンオイルは、さらに密封性の向上と冷却・洗浄の役割も担っています。

ギアオイル・ミッションオイルとエンジンオイルには、主に使用する場所と担う役割の2点において違いがあるものと覚えておきまましょう。

関連記事:「エンジンオイルの基本を解説!仕組みや役割・適切な交換時期とは?

ギアオイルとミッションオイルの種類の違い

ギアオイルとミッションオイルの種類の違い

ギアオイル、ミッションオイル等の駆動系装置向けの潤滑油は、ベースオイル、そして品質や特性に基づいた等級、粘度の違いにより種類分けされています。

そこで、以下からはギアオイルやミッションオイルの種類を分けるベースオイル・等級・粘度の3つの要素について、それぞれの違いにより何が変わるのか学んでいきましょう。

ベースオイル

一般的に、ギアオイルとミッションオイルのベースに使われるオイルは鉱物油、全合成油、部分合成油の3種類です。

それぞれのベースオイルの成り立ちや特徴については以下にまとめましたので、確認してください。

鉱物油

原油を精製する過程で、最低限の不純物・不要物のみを除去した安価なベースオイルです。

古くからギアオイルやミッションオイル、エンジンオイルの基油として使われてきた種類ですが、酸化や劣化がしやすいという欠点があります。

全合成油

原油から精製する過程で、可能な限り多くの不純物を除去した高純度のベースオイルです。

酸化や劣化に強く、基油として使えば質の高い潤滑油を作ることができますが、その分、価格も高くなります。

部分合成油

鉱物油に、20%ほどの割合で全合成油を配合したベースオイルです。全合成油が鉱物油の弱点を補っているため、安価でありつつも一定の品質を持った潤滑油を作ることができます。

関連記事:「エンジンオイルの種類や違いを解説!性能を変える4つの要素とは?

等級

日本で販売されているギアオイルやミッションオイルは、いずれもエンジンオイルと同じく、API規格に基づいて製造・評価するのが一般的です。

具体的には、以下のようにGL-1~GL-6までの6段階でオイルの性質を等級付けし、自動車向けの用途を設定しています。

  • GL-1:基本的に普通自動車の潤滑条件を満たさないため、車には使用しない
  • GL-2:基本的に普通自動車の潤滑条件を満たさないため、車には使用しない
  • GL-3:トラックのミッションオイルをはじめ、一部種類のギアオイルとして使用
  • GL-4:さまざまな車のミッションオイル、デフオイル等、ギアオイルとして使用
  • GL-5:特に過酷な条件下で使用する車のデフオイル等、ギアオイルとして使用
  • GL-6:極めて過酷な条件下で使えるギアオイルだが、一般的な車には使用しない

上記を見てわかる通り、現代の一般的な自動車に適用されているギアオイル、ミッションオイルの等級は、GL-4またはGL-5の2種類のみです。

また、ギアオイルやミッションオイルは「GL-」の後にくる数字が大きくなるほど極圧添加剤の量が多く、ギアの保護性能が高くなります。併せて覚えておくと良いでしょう。

関連記事:「エンジンオイルのAPIとは?規格ごとの表記の見方やグレードを解説

粘度

ギアオイルやミッションオイルの粘度は、SAE規格のうち「J300」に基づいて評価されます。

具体的には「80W90」のような数字とアルファベットの組み合わせ、または「95」等の数字でオイルの粘り気や対応可能な最低気温、外気温による粘度変化の目安を表しています。

見方としては、数字が大きいほど粘度が高く、ドロドロとした硬いオイルとなり、数字が小さいほど粘度が低く、サラサラしたやわらかいオイルになると覚えておきましょう。

なお、現在では「80W90」のように、前半の数字と冬を意味する「W」で対応可能な最低気温と低温時の粘度を、後半の数字で高温時の粘度を表すマルチグレード表記が一般的です。

以下に、前半の数字とWが示す対応可能な最低気温の目安をまとめましたので、参考にご覧ください。

  • 70W:-55度
  • 75W:-40度
  • 80W:-26度
  • 85W:-12度

関連記事:「ギアオイルの80や90は粘度のこと!数字が示す意味や性能の違いとは

ギアオイルやミッションオイルの交換時期・費用の目安は?

ギアオイルやミッションオイルの交換時期・費用の目安は?

ベースオイルや等級、粘度の違いによって複数の種類があるギアオイルやミッションオイルですが、長く使用していると劣化が進み、本来の性能を発揮できなくなっていきます。

トランスミッション等の駆動系装置を良い状態に保ち、安全に使い続けるには、定期的にギアオイルやミッションオイルを交換しなければなりません。

具体的には、以下いずれか早い方のタイミングで、交換が必要になると覚えておきましょう。

  • 前回の交換から、走行距離にして10,000~20,000㎞を過ぎた時点
  • 前回の交換から、使用期間にして2年が過ぎた時点

ただし、普段から山道を通ることが多かったり、趣味でスポーツ走行をする場合等は、車にとってのシビアコンディションに該当します。

上記の目安よりも早くギアオイル、ミッションオイルの劣化が進む可能性がありますので、ギアチェンジの際に異音や違和感があれば、早めに整備士に相談してください。

なお、ギアオイルやミッションオイルの交換にかかる費用については、車の種類や状態により変わってきます。

目安としては、オイル代込みで安ければ5,000円前後、高い場合で30,000円以内と考えておくと良いでしょう。

関連記事:「車の部品・消耗品の交換時期は?必要な費用の目安と一緒に解説!

適切なタイミングでオイル交換しないとどうなる?

ギアオイルやミッションオイルの交換を怠り劣化が進むと、オイルが担っていた潤滑性が失われ、ギア同士が激しくぶつかり合って、以下のような重大なトラブルの原因となります。

  • 異音の発生やギアチェンジの不良
  • 摩擦による駆動系装置の発熱、焼き付き
  • ギアのすり減りや破損、駆動系の故障

ギアオイルやミッションオイルは、エンジンオイルと同様、車の安全走行に欠かせない潤滑油です。

エンジンオイルに比べると、ギアオイルやミッションオイルの交換頻度はそこまで多くありませんが、ご自身と周りの方の安全のために、必ず適切なタイミングで交換してください。

ギアオイルやミッションオイルは自分で交換できる?

ギアオイルやミッションオイルは自分で交換できる?

ギアオイルやミッションオイルを交換するには、車体をジャッキアップして固定し、その下で作業をしなければなりません。

また、一連の交換作業を行うためには、最低でも以下のすべての道具が必要になります。

ギアオイル、ミッションオイルの交換に必要な道具一覧

  • ジャッキ
  • ジャッキスタンド
  • ドレンプラグを外すレンチ
  • フィラープラグ
  • 古いものと交換するための新しいガスケット
  • オイルを吸い出し、注入するためのサクションガン
  • 古いオイルを処理するための廃油箱

どのような道具を選ぶかにもよりますが、これらをすべて買い揃えるとなると、数万円単位の費用が必要になるでしょう。また工具の扱いや廃油の処理には、それなりの知識も必要です。

さらに、車の下に入って作業をすることには、常にリスクが伴います。正しい手順で行わなければ、重大な事故に繋がる恐れもあります。

これらを踏まえると、初めて車の整備やオイル交換に挑戦すると言う方には、ご自身でギアオイルやミッションオイルを交換することはおすすめできません。

ギアオイルやミッションオイルの交換は、可能な限り、プロの整備士にお任せしましょう。

関連記事:「不要な車の部品、どう処分する?適切に廃棄するための3つの方法

車に合うギアオイル、ミッションオイルの選び方

車に合うギアオイル、ミッションオイルの選び方

自動車メーカー各社は、自社が製造する車の指定・推奨ギアオイルやミッションオイルの種類について、取扱説明書に記載してユーザー側へ伝えています。

お乗りの車に適したギアオイルやミッションオイルの等級や粘度を知りたい時は、まず取扱説明書を確認してみましょう。

なお、もしも取扱説明書を紛失してしまったら、お乗りの車の車種や車台番号をもとに、適合するギアオイルやミッションオイルの種類を検索してみるのがおすすめです。

それでもわからない時は、普段から車のメンテナンスを依頼している整備士やカー用品店、または私たちのような自動車部品を扱う事業者へ問い合わせてみてくださいね。

車の各種パーツ、部品のことなら琴平自動車へ

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