アドブルーがなくなったら?走行継続の可否やタンクが空になった時の適切な対処法

2024.01.15
アドブルーがなくなったら?走行継続の可否やタンクが空になった時の適切な対処法

ディーゼル車に搭載したアドブルーがなくなったら、車はどうなってしまうのでしょうか。

そこで今回は、小型・普通車からトラック等の大型車向けまで、幅広く車用品を取り扱う琴平自動車が、アドブルーがなくなったらどうなるかについて解説。走行を続けられるかどうかはもちろん、環境や車への影響、アドブルータンクが空になった場合の対処法等も紹介していくので、尿素SCRシステム搭載のディーゼル車をお持ちの方は、ぜひ参考にご覧ください。

アドブルー(AdBlue)がなくなったらどうなる?

アドブルー(AdBlue)がなくなったらどうなる?

アドブルーは、尿素SCRシステム専用の高品位尿素水です。具体的には、尿素と純水を32.5%:67.5%の比率になるように配合した薬剤であり、ディーゼルエンジンの排気経路上において、以下のような仕組みで排気ガス中に含まれる有害物質を分解・浄化する役割を担っています。

ディーゼル車でアドブルーが働く仕組み

  1. マフラー内に設置された尿素SCRシステム内にて、排気ガスにアドブルーが噴射される
  2. 高温下で気化したアドブルーは、その後、酸化触媒と尿素SCR触媒の中で加水分解されてアンモニアガスとなる
  3. アンモニアガス(NH3)が排気ガス中の有害物質である窒素酸化物(NOx)と結合し、人体と環境にとって無害な水(H2O)と窒素(N)に分解してから、車外へ排出する

なお「アドブルー」「AdBlue」は、ドイツ自動車工業会(VDA)の商標登録であり、琴平自動車でもお取り扱いしている製品の一つです。アドブルーという商品名を使用できる高品位尿素水は、原則、ドイツ自動車工業会から認証を受けた製品のみとなります。

関連記事:「アドブルーとは?尿素SCRシステムの仕組みやディーゼル車での役割と一緒に学ぼう

アドブルーがなくなったら、車のエンジンがかからなくなる!

尿素SCRシステムは、世界的な排出ガス規制強化の流れを受け、近年のディーゼル車に積極的に搭載されるようになってきた排出ガス浄化システムの一種です。そして、そのシステムの根幹を担うアドブルーは、尿素SCRシステムを搭載するディーゼル車の稼働に欠かせません。

そのため、尿素SCRシステムを搭載するディーゼル車は、アドブルーなしではエンジンが始動できない構造になっています。具体的には、アドブルーを入れておくアドブルータンク内のアドブルーの量・濃度を検知する機能を備えているため、量が少なすぎたり、濃度異常を検知した場合には、メーター横のアドブルー警告灯が点灯してエンジンがかけられなくなるのです。

なお、仮に走行中にアドブルー残量がゼロになっても、エンジンを切らない限りは走行を続けられます。アドブルーがない状態のままエンジンを切った場合のみ、エンジンが再始動できなくなると理解しておきましょう。

関連記事:「アドブルーが必要な車はディーゼル車!尿素SCRシステムと一緒に搭載する理由とは?

アドブルーがなくなると危険?環境や車への影響は?

先述したように、既にエンジンを始動させた後であれば、アドブルーがなくなっても走行を続けることは可能です。しかし、尿素SCRシステムを搭載したディーゼル車をアドブルーのない状態で動かすことには、地球環境と車の双方にとって以下のようなリスクが伴います。

リスク①排気ガスが適切に浄化できなくなる

尿素SCRシステムは、アドブルーがなければ排出ガス浄化システムとして機能することができません。そのため、アドブルーがない状態のままディーゼル車を動かすと、地球環境と人体に悪影響を及ぼす恐れのあるガスを生み出し、周囲に放出し続けることになってしまいます。

リスク②車両トラブルが起こる可能性が高くなる

アドブルータンクの残量が非常に少ない、またはなくなったまま走行を続けると、メーター横のアドブルー警告灯をはじめ、エンジンに異常が起きていることを示す警告が表示されます。

尿素SCRシステム搭載のディーゼル車にとって、アドブルーなしでの走行は異常事態です。
アドブルーがなくなった状態で走行を続けると、車に大きな負担がかかるばかりか、センサー類のトラブルや故障を誘発する恐れもあるため、可能な限り避けるようにしてください。

関連記事:「アドブルーの代わりに水を入れると危険?代替品の使用が車に及ぼす影響・リスクとは

アドブルーがなくなったときの適切な対処法について

ここからは、アドブルーがなくなったことに気が付いた時の適切な対処法について、大きく「走行中に気が付いた場合」と「エンジンを停止させた場合」に分けて、紹介していきます。

走行中にアドブルータンクが空になったと気付いた場合

走行中にアドブルー切れに気が付いた場合は、そのままエンジンを切らずにアドブルーが購入できる店舗を目指して走行を続けます。具体的には、普段からお付き合いのあるディーラーや最寄りのカー用品店の他、大型トラック等の出入りが多い高速道路近くのガソリンスタンドを探してみると良いでしょう。

なお、途中で休憩やお店探しのために停車する場合も、絶対にエンジンを切らないように注意してください。

アドブルーが切れた状態のままエンジンを停止させた場合

エンジンの始動時にアドブルーがないことに気が付いたり、アドブルーがない状態のままエンジンを切ってしまった場合は、早急に必要量のアドブルーを購入・補充するしかありません。

ご自身でアドブルーを取り扱う店舗へ購入しに行くか、店舗に現在地までの配達を依頼して、お乗りの車のタンクサイズに応じた量のアドブルーを購入しましょう。なお、車種別のアドブルータンクの容量の目安は、以下一覧の通りです。

  • 乗用車タイプ:7~13リットル
  • 小型(2t)トラック:15~30リットル
  • 中型(4t)トラック:30~40リットル
  • 大型(10t)トラック:40~60リットル

ただし、アドブルーを扱うすべての店舗が、商品の配達に対応しているわけではありません。もしもの時のために、お付き合いのある整備工場や最寄りのカーショップ等に、配達の可否や料金について事前に確認しておくことをおすすめします。

関連記事:「アドブルーの減りが早いのはなぜ?考えられる3つの原因と解決法

走行中にアドブルーがなくなるのを防ぐためにできること

走行中にアドブルーがなくなるのを防ぐためにできること

アドブルーは、燃料と同じく、車を動かす度に一定量が消費される消耗品です。一般的な消費ペースの目安としては、1,000㎞走るごとに約1リットル、ディーゼルエンジンの燃料である軽油の消費量に対して3〜5%程度だと言われています。

つまり、お乗りの車の消費ペースに合わせてこまめにアドブルーを補充することができれば、アドブルーがなくなることによる車両トラブルは防ぐことができるのです。具体的には、メーター横のアドブルー警告灯でこまめに残量をチェックして補充する習慣を付けるか、満タンにした後、おおよそ以下の距離を走行した時点で補充するようにしましょう。

  • 乗用車またはバン:およそ6,000~12,000㎞
  • 小型(2t)トラック:およそ12,000~27,000㎞
  • 中型(4t)トラック:およそ26,000~36,000㎞
  • 大型(10t)トラック:およそ35,000~55,000㎞

なお実際のアドブルーの消費量は、車種や用途の他、普段の車の使い方等によっても変わってきます。またアドブルーを補充した時期や、前回補充してからの期間・走行距離について正確に覚えていられないという方も少なくないでしょう。

そこで以下からは、適切なタイミングでアドブルーを補充し、走行中になくなるという事態を防ぐために知っておいて欲しい対策について、2つ紹介していきます。

対策その①オイル交換の時期を目安にアドブルーを補充する

アドブルーの補充周期は、エンジンオイルの交換周期とほぼ同じだと言われています。直近でアドブルーを補充した時期や、前回補充してからの期間・走行距離を覚えていられないという方は、オイル交換に合わせ、1年に1回のペースでアドブルーの補充も行うと良いでしょう。

関連記事:「車の部品・消耗品の交換時期は?必要な費用の目安と一緒に解説!

対策その②少量でも良いので予備のアドブルーを積んでおく

アドブルーがない状態でエンジンを切ってしまい、車が動かせなくなるのを防ぐために、予備のアドブルーを車に積んでおくのもおすすめです。5〜10リットルの少量でも良いので、無理なく積載できる量・サイズのアドブルーを購入の上、緊急用として車に保管しておきましょう。

ただし、アドブルーは熱に弱い性質があるため、真夏の車内で保管すると急激に劣化が進み、製品寿命が著しく短くなる恐れがあります。車載するタイミングや季節、期間によってはいざという時に予備のアドブルーが使えなくなることもあるため、注意が必要です。

アドブルーがなくなるのに備え、長期保管する際の注意点

アドブルーがなくなるのに備え、長期保管する際の注意点

アドブルーは、周辺外気温が30度以上になると保管・使用可能な期限が1年以下となり、-11度を下回ると結晶化するという特徴があります。そのため、アドブルーを長期保管したい場合には、以下の条件を満たす場所で保存しなけばなりません。

アドブルーの長期保管に適した場所・環境の条件

  • 年間を通して-10度以上、30度以下の気温が保てる場所
  • 直射日光が当たらず、風通しも良い気温10度前後の涼しい場所
  • 水道水や雨水、砂等の異物が混入する恐れのない屋内

なおアドブルーの結晶化とは、水が氷になるのと同じような現象です。そのため、結晶化してもアドブルーの品質・性質が大きく変わることはありません。暖機運転や気温の上昇によってアドブルーの温度が上がり、溶けて液体に戻れば問題なく高品位尿素水として使用できます。

関連記事:「アドブルーが結晶化する原因とは?発生後の適切な対処法・予防策と併せて解説

【外気温別】アドブルーを保管・使用可能な期間の目安

熱に弱いアドブルーは、周辺外気温が30度以上になると急激に劣化速度が増し、以降は気温の上昇と比例して保管・使用可能な期間が短くなっていきます。具体的には、製品の開封・未開封やアドブルータンクに入れているかどうかに関わらず、おおむね以下のようなペースで製品寿命が短くなっていくと理解しておきましょう。

周辺外気温の目安 保管・使用可能な期間の目安
10度以下 およそ3年
25度以下 およそ2年
30度以下 およそ1年
35度以下 およそ6か月
40度以上 およそ4か月

予備のアドブルーを車内や会社倉庫、事務所等に保管する場合は、保管場所の気温にも十分に注意した上で、できるだけ早く補充・使用するように心がけてください。

関連記事:「アドブルーの適切な保管方法|基本的な注意点や使用期限の変化とは

車の各種パーツ、部品のことなら琴平自動車へ

車の各種パーツ、部品のことなら琴平自動車へ

私たち琴平自動車は、トラックやトラクターなどの大型車から一般の小型車まで、さまざまな車にお使いいただけるパーツ・工具を全国へお届けする部品卸商です。

ディーラーや部品メーカーなど、100社近い仕入れ先様と取引があり、お客様のご予算・ご要望に合わせた適切なパーツのお取り寄せやご提案をさせていただいております!

  • 保有する車の性能、用途に合うパーツをできるだけ早く入手したい
  • 予算内で修理を完了させられるよう、方法を提案して欲しい
  • 社外品やリビルト品も含め、自社の車に合う部品を提案してもらいたい
  • 保証期間は短くても良いので、安くて性能の良いパーツを探して欲しい

など、車のパーツ選びや取り寄せについてお悩みなら、ぜひ一度ご相談ください。

純正品はもちろん優良品、リビルト品、社外製品から自社開発の油圧ホースまでご案内できる取扱商品の幅広さを武器に、弊社の担当者がきめ細かく対応いたします。

琴平自動車公式インスタグラム